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2020年10月

2020年10月 2日 (金)

9月の読書記録 読書メーターより

9月の読書メーター
読んだ本の数:18
読んだページ数:5839
ナイス数:2373

この世の春(中) (新潮文庫)この世の春(中) (新潮文庫)感想
【図書館】ジリジリと追いつめるミステリアスな展開からパッと謎解きが終わり、目まぐるしい展開に。 さてこれからどうなる、怪しい人物が誰だか判らない。 新九郎が死んだ? どうしても信じられない。 重興の人格分離も医師の考え方による、一考察にしかならないし、まだまだ謎がありそうだ。 それに、多紀の主要人物としての、もっと深い謎がならなくてはならない。 最終結論を求めて「下」巻へ・・・
読了日:09月01日 著者:宮部 みゆき
この世の春(下) (新潮文庫)この世の春(下) (新潮文庫)感想
【図書館】ふーっ、読み終えた。 読み込んで終わったのか良く判らない。 こういう書き方なのか、群像劇はこんな終わり方をするのか。 宮部氏は物語りに枝葉を付けすぎだと思う。 事件の核心が何なのか、それに収束すべきだと思う。 いろいろなテーマを織り込み過ぎて、少し散漫になってしまった感がする。 呪に逃げるのは作家としてどうかと思う、いろいろな考え方の中から自分の考えを伝えるのも作家かと思います。 この小説で何を訴えたかったのか、読み終わっても判らない。 宮部の小説づくりに着いて行けない自分を感じる。
読了日:09月05日 著者:宮部 みゆき
俺の後ろに立つな―さいとう・たかを劇画一代俺の後ろに立つな―さいとう・たかを劇画一代感想
【図書館】劇画家・さいとう・たかを氏の自伝的一冊。 原体験、劇画論、映画論、考え方、持論など本人が語るさいとう・たかを論。 自分で語るには照れ臭さもあるのか歯切れの悪い部分もあるが、とにかく一生懸命さが感じられる。 インタビュー等駆使して魅力を引き出した方が良かった。 劇画作りのあれこれを、もう少し聞きたかった。 ただ、「ゴルゴ13」や「無用之介」の作者の本音が聞けて良かった。 これからも、ガンバってもらいたい。
読了日:09月06日 著者:さいとう たかを
旅路(上) (文春文庫 (142‐28))旅路(上) (文春文庫 (142‐28))感想
【図書館】「鬼平」「剣客」「梅安」とシリーズを読み切って次は?と考えていたところ、シリーズの解説で女性の生き様、放浪物と言う事で「旅路」他の紹介があった。早速、読んで見る事にした。サンケイ新聞夕刊・連載と言う事で広く楽しめそうだ。お話は、とある藩の武士が切り殺されて、その妻が藩令を拒み敵討ちに出る事から始まる。その妻の行き先で色々な事が起こる、その顛末を描写する。江戸に出る途中の事、江戸での暮らし、そして考え方の変遷、女心の起伏等、いろいろ盛り込んだ池波氏の流転物。まだまだ、一捻りありそうな下巻に続く。
読了日:09月08日 著者:池波 正太郎
旅路(下) (文春文庫 (142‐29))旅路(下) (文春文庫 (142‐29))感想
【図書館】美千代の長い旅路は終わった。しかし、男運の無い女だったな、最後は裕福な商人の後妻に入るが、何やらそれだけで終わりそうもない雰囲気。しかし、知り合った男と結ばれるたんびに、その男が死んでしまう。それに、その後に必ず面倒見てくれる人たちが現れる。普通だったら「魔性の女」男を食い尽くす、だが美千代のあずかり知らぬところで展開するのが運命と言う物だろう。拍道が盗人と言うのは最初から判っていた事だ、それに悪事をして善行もするという池波流の考えはここでも示している。鬼平が出て来たのは著者一流のサービスだ。
読了日:09月09日 著者:池波 正太郎
まんぞく まんぞく (新潮文庫)まんぞく まんぞく (新潮文庫)感想
【図書館】女剣士・堀真琴の流転を描く一篇。若い頃浪人者に犯されそうになり、その後の人生が狂ってしまった女の人生はどんなものか。男に対する憎悪と女であり続ける明日、男女と生きる仕方なさ、全てに諦めきれない執念の女を描く、抒情の大作。真琴の趣味を描くことが物語にどう影響するか、ちと考え深いところだが。 池波流としては春本も髷を切る性癖も、一人の女としている事を書きたかったのだと思う。織田平太郎の描き方が少し弱かったと思う。関口元道は秋山小兵衛でも何ら問題が無い事に気づく、「剣客商売」の番外編でもおかしくない。
読了日:09月11日 著者:池波 正太郎
新装版 夜明けの星 (文春文庫)新装版 夜明けの星 (文春文庫)感想
【図書館】女の数奇な運命の半生記、池波版・第3弾! これは変わった構成だ、人殺しから派生する被害者と加害者を描いたもの。 実際には交錯するはずの無い、進路が妙に入り組んで、何らかの関連性を持ち続ける物語。 片や「仕掛人」の世界、片や「市井物」の女一代記、これを一つに併せて物語を描く。 池波流の「悪事をしながら善行も施す」精神がここでも行われている。 梅安やその時代の人物が登場するのも楽しい仕掛です。 堀辰蔵とお道のどうにもならない宿命と言う物を、追う物追われる物の鏡合せの様で納得させられる。 
読了日:09月11日 著者:池波 正太郎
新装版 雲ながれゆく (文春文庫)新装版 雲ながれゆく (文春文庫)感想
【図書館】女の浮き沈み描く、あれよこれよと凄まじい流れの中に放り込まれる作品だ。読み始めたら一気呵成にラストまで行ってしまう女の半生記。池波流の女蔑視の観点も否めないが、こんな浮世離れした男が登場するのも良いのでは。何と言っても、お歌の生き方が気持ち良い、他人にここまで尽くすという女性が幸せにならないでどうする。しかし、馬杉源吾という人物は何を表しているのだろうか。一種の神を創造していたのか、ただ一つ、判らない存在。お歌のこれからも苦労すると思うが人一倍のバイタリティで乗り切っていくと思う、ラストが良い。
読了日:09月14日 著者:池波 正太郎
てらこや青義堂 師匠、走るてらこや青義堂 師匠、走る感想
【図書館】今村翔吾の忍者物。 寺子屋の師匠が元忍び、しかも名うての手練れ。 寺子屋の問題児と過ごすうち、お伊勢参りに乗じて敵の忍びが襲ってくる。 丁々発止の攻防に子供たちの悩みも抱えて坂入十蔵の苦闘は続く。 学園もの、忍者もの、恋愛もの、いろんな要素が、たっぷり含んだ今村エンターテイントメント。 登場人物全員に配慮した構成は見事だ、シリーズ続刊もありそうな幕引きだった。 各人物にスポットを当てるのは今村流なんだろうな。
読了日:09月17日 著者:今村 翔吾
トオリヌケ キンシ (文春文庫)トオリヌケ キンシ (文春文庫)感想
【図書館】軽い感じの短編集と言った感じで手に取った。 違う、全編変わった病気の話しだった。本人しか判らない病気のジレンマがひしひしと感じる。軽い感じで手にしてはいけない本だった。出口の無い閉鎖空間、こういった感覚に陥った時どう思うのだろうか。孤独を抱いて明日はあるのか、加納朋子は、それでも希望を諦めないでと説く。小説です「座敷童と兎と亀と」の様に、明るく綴って欲しい。加納朋子も白血病で闘病した経験からこのような小説を書いたとあるが、先ずは生還おめでとうこざいます。それにしても、考えさせられる話であった。
読了日:09月18日 著者:加納 朋子
妖の華 (文春文庫)妖の華 (文春文庫)感想
【図書館】2003年(文庫化2010年)なるほど古いわけだ。 図書館のビニールカバーがしわだらけもうなづける。 著者のデビュー作品と言う事で盛り沢山になっている。 後に書かれたシリーズ物の原点が盛り込まれている。 こんなの書くとネタバレになっちゃうかな。 吸血鬼伝説である、それと警察、暴力団を交えて現代物に仕立て上げている。 紅鈴のキャラクターがスーパーヒロインになっているのがちょっと、それにしてはラストがあっけない。 とにかくデビュー作でここまで書けることに拍手! 続編を書くと言う事にも拍手!
読了日:09月21日 著者:誉田 哲也
初期のUrasawa―浦沢直樹短編集 (ビッグコミックス ワイド版)初期のUrasawa―浦沢直樹短編集 (ビッグコミックス ワイド版)感想
【再々読】久し振りに引っ張り出してきたが、やはり面白い。 今は押しも押されぬ浦沢直樹だが、デビュー直前から5年間の全作品を集めた短編集。 すでに今日の浦沢節が出来上がっている。 やはり、天才は天才たる所以がある。 ユーモアとウイットは地力何だなあと、思わせる感性が凄い。 こんな作品は今日でも面白いと思われる作品です。 やっぱ、持ってて良かった作品集です。
読了日:09月21日 著者:浦沢 直樹
謎物語 (あるいは物語の謎) (創元推理文庫)謎物語 (あるいは物語の謎) (創元推理文庫)感想
【図書館】1996年中央公論社刊。1999年中公文庫化。2004年角川文庫化、「北村薫」ファンの私だから【再読】のはずである、しかし、見事に細部を忘れていて、楽しく読めた。 人間そんなにすべてを覚えているもので無いようだ。 まるで初見の様にワクワクして頁をめくった。 解説で知ったのだが初めてのミステリー・エッセイとの事、そんな初期からこういう思考回路の人だったのか。 謎に重きをおかず物語に着想を得る、そんな考えが頭をよぎる。 器だけじゃいけないんだ、全ての事が素敵な文章に彩られている。 素敵な一冊でした。
読了日:09月23日 著者:北村 薫
時が見下ろす町 (祥伝社文庫)時が見下ろす町 (祥伝社文庫)感想
【図書館】流石は「長岡弘樹」と感じた、期待を裏切らない作品。 あちらこちらに伏線を紛らし、それがひとつになった時の爽快感。 やっぱり長岡弘樹は良いなあ。 お話は大きい時計が見つめる街で起こる様々な事件、大なり小なり個人に降りかかる。 登場人物の関わり方が一読では理解できないが、行きつ戻りつ読むうちに!と思い当たる。 長岡節ですね~良くぞこんな連作集を考え付いたもんだ。 思わずジーンと来る余韻を楽しみたい。 こんな本にぶち当たるから、図書館巡りは止められない。 まだまだ、隠れた良い本があるかも。
読了日:09月24日 著者:長岡弘樹
誰かが足りない (双葉文庫)誰かが足りない (双葉文庫)感想
【図書館】空疎な時間それが何だか判らない、それぞれ六人の状況を描いて、そこからの脱却を目指す再生のドラマ。 いろいろあるけど「食べる」ことの大切さを教え、まず生きてみようと背中を押す。 一人に一つだけの思い入れの「食べ物」がある、そしてレストラン・ハライに集約させる筆致が素晴らしい。 ハライの料理で結実して欲しかった感も。 「本屋大賞」ノミネート作品、この著者は「羊と鋼の森」で後に「本屋大賞」を見事に射止めている。人を描ける作家である、後者を知らず読み進めて自然に頷けた作家です。やはり凄い人はいるものだ。
読了日:09月25日 著者:宮下 奈都
Qrosの女Qrosの女感想
【図書館】ちょっと拍子抜けの感じ、これが誉田作品って言う感じ、もっとハラハラしたり、ドキドキするんじゃないの。 ゴシップ・ライターが巻き込まれる怪事件、蓋を開けたら誹謗中傷のヒガミ男。 いつ、凄い展開になるのかとワクワクしてたら、そのまんま終わってしまった。 ジ・エンド・・・なんだ~これは、モヤモヤが収まらない。 確かにネットの誹謗中傷は目に余るものがある、しかし、こういう解決は誉田流では無いと思う。 唯一、読んだ時間が損したなあと思った。 次はスッキリさせてくれ~
読了日:09月28日 著者:誉田 哲也
大友克洋アートワーク KABA (OTOMO KATSUHIRO ART WORK)大友克洋アートワーク KABA (OTOMO KATSUHIRO ART WORK)感想
【再々読】やっぱり「大友克洋」は良いなぁ。 パラパラめくっている内に一冊読んでしまった(観てしまった)。 しかし、好奇心旺盛な人だ、1971年から1989年までの製作過程が所狭しと並んでいる。 今は、何をやっているのか・・・もう、イラストとか漫画は描かないのだろうか。
読了日:09月28日 著者:大友 克洋
九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2)九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2)感想
【再々読】ふと、手にした本がこれだった。 やはり読み耽ってしまう。 「9マイルの道を歩くのは容易じゃない、まして雨の中となるとなおさらだ」何気ない言葉にピーンと来たニッキィ・ウェルト教授が辿る推理とは・・・ アームチェア・デティクティブの本領発揮、探偵小説の新たなる地平を描く、推理小説の金字塔。 淡々と話すニッキィが好きです、こんなに頭の回転が凄いとは。 しかも、何年もかけて執筆しているのが頭が下がる。 こういう粋な探偵はもう出ないんだろうな。 「9マイル」という半端な数字が手掛かりとは。 古典に拍手!
読了日:09月30日 著者:ハリイ・ケメルマン

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