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2020年8月

2020年8月 2日 (日)

7月の読書 読書メーターより


読んだ本の数:23
読んだページ数:7645
ナイス数:1890

鬼平犯科帳の世界 (文春文庫)鬼平犯科帳の世界 (文春文庫)感想
【図書館】世界と言うより「鬼平辞典」 世界観というか江戸の豆知識という本。人名事典は余計なお世話感がある。「江戸ショッピング案内」は細かすぎて著者の自己満足に他ならない。冒頭の「著者インタビュー」が良い、池波正太郎の心が感じられる。「鬼平一家WHO`S WHO」はいらない、ひとりひとりが噛みしめるべきもの。「用語解説マニュアル」~「鬼平の時代」は知っている人が知ればよい事だと思う。少し前に読んだ「鬼平お愉しみ読本」の方が読み出があって良い。辞典として面白いがいちいち確かめて読む「鬼平の世界」では無い。
読了日:07月01日 著者:
黙(しじま)黙(しじま)感想
【図書館】介錯人・別所龍玄シリーズ、第二弾! 相変わらず龍玄の世界は粛々と進む、こんなに悲しみに包まれているのに、やるべきことをやるしかないと、考えてしまう。 江戸時代の作法としては、そうなのだろう理不尽だ割に合わない、そんな定法がまかり通る、そんな世界なんだ。 分かっているが、気が済まない、龍玄、怒らないのか・・・どうにも出来ない、そんな世界を見る事が時代劇なのだろう。 体制の中に身を置いた時、がんじがらめの世の中と思う、でもそんな中でも龍玄は龍玄で在って欲しい。 次回作も楽しみです。
読了日:07月02日 著者:辻堂 魁
仇討ち (角川文庫)仇討ち (角川文庫)感想
【図書館】これは面白い、「仇討ち」の形態を八種類、描いてその時々の苦労を描き切る。敵討ちにも色々なエピソードがあり、そこが小説家の手腕の見せ所。池波正太郎は凄い、偶然あり作為的あり、いろんなパターンを見せてくれる。最後の「出刃打ちお玉」は、「剣客商売」にと登場したのではと思わせる、話です。エピソードが無くなり使ったのかも知れませんね。すれ違いのドラマはやっぱり絵になりますね、命を懸けて戦う、しかも敵味方、行方がはっきりしない、こりゃあ戦意も殺がれる事だろうな。逃げられたら探しようが無い、途方に暮れる・・・
読了日:07月03日 著者:池波 正太郎
元禄一刀流―池波正太郎初文庫化作品集 (双葉文庫)元禄一刀流―池波正太郎初文庫化作品集 (双葉文庫)感想
【図書館】池波正太郎の短編集。 一つ一つが繋がりも無く流れていく作品集。 初文庫化と言うのもうなづける作品集だ。 ただ、その一つ一つに池波流の解釈があり面白い。 視点の置き方に工夫があり、「善を行い、悪行もこなす」という反逆の精神がここでも発揮されている。 一方的な「見かけ」では、どうにも出来ない事があるという教えがここにある。 ますます、池波の尋常でない手腕に感服する。 「剣客商売」読んでみようかな・・・
読了日:07月06日 著者:池波 正太郎
十三人の刺客 (ビッグコミックススペシャル)十三人の刺客 (ビッグコミックススペシャル)感想
【再読】やっぱり面白い、時間を忘れて読み込んでしまう。 前にも書いたが、短すぎるいろいろな策があり、攻防がある、そこを書きこめていないのが残念。 大名行列に、たった13人で切り込む、その精鋭たちが描かれていない。 でも、時間を忘れる時代劇画であった。 森秀樹、もう少しじっくり読みたいものだ。
読了日:07月06日 著者:池宮 彰一郎
おとこの秘図(上) (新潮文庫)おとこの秘図(上) (新潮文庫)感想
【図書館】旗本の妾腹に生まれた「徳山権十郎」の数奇に満ちた一代記。 冒頭からグイグイと惹きつける面白さ、池波手腕はたまさかである。 何せ展開が早い、剣術修行と色道指南、道中記、何やら怪しげな盗賊らしき者の影が・・・池波作品の全てが網羅されている感覚。 凄いエンターテイメントになりそうな予感。 果たしてどうなるのか目が離せない、続いて「中巻」に急いで移ろうと思う。
読了日:07月09日 著者:池波 正太郎
おとこの秘図(中)(新潮文庫)おとこの秘図(中)(新潮文庫)感想
【図書館】キンドルじゃないけどキンドルしか出ないので。 今日でお梶と暮らしていた権十郎も遂に江戸に帰る事に、未練を残し江戸で待っていたのは父・重俊の死であった。 一家を構えた権十郎は五兵衛と名を改めて歩み始めた。 京でお梶に貰ったあぶな絵を真似て一心不乱に描いたこともある、そして妻帯するが不作の嫁であった。悶々とする五兵衛の元に将軍からお呼びが・・・紀州と尾張の確執に巻き込まれる五兵衛、果たしてどうなるか。 謎が謎を呼び益々風雲急を告げる。 急いで下巻に移らねば。
読了日:07月10日 著者:池波正太郎
おとこの秘図(下) (新潮文庫)おとこの秘図(下) (新潮文庫)感想
【図書館】「おとこの秘図」完結編。 将軍の身代わりとなり重症を負う五兵衛、ますます尾張と紀伊の確執は深まりつつある。そんなある日、五十七歳になった五兵衛に火付盗賊改方に任命される。そして日本左衛門の討伐に力を注ぎ,また尾張九衛門の後を追う。その間「秘戯図」の製作にも心を砕いていた。日中は盗賊を追い、夜間はあぶな絵にうつつを抜かす、男というもの一筋に行かぬものがあるようで。死ぬまでにどうにか処理したい秘戯図、結末はどうなるのだろう。一族代々に及ぶ遺言により密かに伝えられたのである。ここに男の秘図終わる。
読了日:07月11日 著者:池波 正太郎
鯖猫長屋ふしぎ草紙(八) (PHP文芸文庫)鯖猫長屋ふしぎ草紙(八) (PHP文芸文庫)感想
【図書館】鯖猫長屋も八巻に突入、今回も不思議な滑り出しを見せる。見晴屋の騒動かと思わせて妖しの影が、一方白い鴉が怪しく迫る。今回は騒動の二段階の落ちが見もの、日頃、落ち着いて見える「二キの隠居」の取り乱した様子が面白い。掛井の旦那が妖し相手だと意外と強い事が判明、拳固ひとつで解決してしまう。サバとさくらは相変わらず頼りになる、特にさくらは棲ざましい能力を発揮する。 鯖猫長屋、いろいろな事件をもとに、これからも情緒を見せてもらいたい。長屋の花見は、端折り過ぎたのでは、もう少し猥雑感があっても良かったと思う。
読了日:07月13日 著者:田牧 大和
検事の信義検事の信義感想
【図書館】やっと、読めました。 佐方貞人シリーズ、第4弾! やはり良い、自分の信義に忠実な姿勢、キレッキレのスピード感、読んでいて充実。 エピソードが四つ、中には懐かしい名前も出て来るが、ほんのチョイ役でニヤリとしてしまう。 一番は「信義を守る」でしょう、信義のために自分の立場も悪くしてしまう、そんな佐方の生きざまに惚れ込んでしまう。 これからの検事生命に影響が出ないのだろうか、弁護士になる要素が、この辺からもうかがえる。 弁護士・佐方も、そろそろ見たいものだ。 まずは、復帰おめでとうと乾杯したい。
読了日:07月15日 著者:柚月裕子
大 名 鬼役二十九 (光文社時代小説文庫)大 名 鬼役二十九 (光文社時代小説文庫)感想
【図書館】シリーズも29巻目、そろそろマンネリになって来たか。 やたらと毒見シーンが多い、ページを埋められなくなって来たのでは。 短編が二つ、ひとつは疑似家族物、蔵人介に纏わる悲劇を集めて家族を造るっていうのは、やり過ぎでは。 もうひとつは、明石の馬鹿大名の話。 「十三人の刺客」を思わせるが、なんとか将軍の母親の話に持って生き流れを変える。 しかし、エピソードが多くないか、いろいろ視点が変わり、テーマがボケる感じ。 ラストの取って付けたような風景描写は不要では。 そろそろ終わっても良いシリーズか。
読了日:07月16日 著者:坂岡 真
谷中・首ふり坂 (新潮文庫)谷中・首ふり坂 (新潮文庫)感想
【図書館】何気なく借りて来た池波氏の短編集。 十一編入っているが全編、小気味が良い物語が詰まっている。 昭和三十五年から四十五年までに発表された作品が編まれている。 各編とも池波節が堂々と描かれていて、流石は文章力の池波氏だと唸わせる作品ばかりである。 中でも「看板」という作品は盗賊・夜兎の角右衛門の盗めの三ヶ条が早くも描かれている。 これに鬼の平蔵こと長谷川平蔵が連載前に登場している事が特筆に値する。 平蔵ファンは読んでおいて損は無い作品かと・・・
読了日:07月16日 著者:池波 正太郎
新装版・梅安針供養 仕掛人・藤枝梅安(四) (講談社文庫)新装版・梅安針供養 仕掛人・藤枝梅安(四) (講談社文庫)感想
【図書館】読む本が無いので図書館から借りて来た。 4巻からしか置いてなかったので、4、6、7巻全部借りて来た。 一回は読んているのでスムースに流れに乗る。 長編という事もあり、丁寧な筋運び。 梅安は面白い、下手なドラマを観るより、よっぽど面白い。 特別時代ドラマを観る雰囲気で読了する。 エンターテイメントはこういう具合に行かなくっちゃ嘘ですよね。 続いて一巻飛ばして六巻に、あっ白子屋暗殺の場面を飛ばしてしまう・・・仕方がない読んじゃおう(笑)
読了日:07月18日 著者:池波 正太郎
新装版・梅安影法師 仕掛人・藤枝梅安(六) (講談社文庫)新装版・梅安影法師 仕掛人・藤枝梅安(六) (講談社文庫)感想
【図書館】白子屋・菊右衛門を殺害して、危難を脱したかに思えたが、それを良く思わない仕掛人が梅安を襲う。 針医者として治療を続ける日常にも仕掛けの手が・・・いろいろな人たちの思惑が渦巻く環境にいかにして危機を脱するか、梅安の苦労は続く。 良い事をして、悪い事もする、池波氏の人生観と言うものがヒシヒシと感じる一編である。 影法師のタイトルが悲しい仕掛人の末路を映しているようで、明日は我が身という心情を醸し出している。 白子屋・襲撃を見逃したのが心残り、借りなおして読むべきか・・・
読了日:07月20日 著者:池波 正太郎
新装版・梅安冬時雨 仕掛人・藤枝梅安(七) (講談社文庫)新装版・梅安冬時雨 仕掛人・藤枝梅安(七) (講談社文庫)感想
【図書館】【再読】また読んでしまった。何回読んでも、ある一点で物語が終わる。(絶筆)なんだからしょうがない。ここまで書いて、後が無い・・・物語はこれからなんだけどな。どうしようもない、話はどう盛り上がるのか、想像できない。仕掛人が新築、隠し部屋とか秘密の通路とかいろいろ詰め込んだ家屋が出来るんだろうな。十五郎の部屋とか彦次郎の部屋とかあるんだろうな。梅安とおもんの部屋は無い、判れて来てしまったものな。しかし、惜しい作品だ、未完がくれぐれも惜しまれる。また、何回七巻まで読み返すのか、忘れた頃に手に取ろう。
読了日:07月20日 著者:池波 正太郎
秘伝の声(上) (新潮文庫)秘伝の声(上) (新潮文庫)感想
【図書館】何気に借りて来た池波本、秘伝を巡る話らしい。 新聞連載の通り山あり谷ありメリハリが効いている。 走り出しの所だが二人の門弟剣士の話らしい、これからどうなって行くのかが楽しみです。 岩蔵の話中心なので、雪丸がどうかかわって来るのか、下巻を見ないと判らない。 牛堀九万之助の名前が出て懐かしく思う。 物語はどう展開していくか下巻に進もう。
読了日:07月23日 著者:池波 正太郎
秘伝の声(下) (新潮文庫)秘伝の声(下) (新潮文庫)感想
【図書館】下巻を読んでなるほど、新聞小説だと思った。 深い理念など無く、テンポ重視の書き方だと思った。 結論を決めずに走り出す池波さんらしい作品。辻褄は合うけど、大きな主題という物が無い。確かにその通りだと思う、人の生き方は明日どうなるのかも判らない。そんな生き方を秘伝書に任せて生きざまを問う、池波理論の描き方かと思う。新聞でその都度読んだ方が、意外と面白いのかも知れない。作者の登場人物が出て来るのは著者一流のサービスであろう。深読みする読者にお土産なのかも。 とにもかくにも、大河ドラマ一巻の終わりです。
読了日:07月24日 著者:池波 正太郎
ツナグ 想い人の心得ツナグ 想い人の心得感想
【図書館】良かった、続編という事で、どうしようかな?と思っていたが、歩美が成長していて、日常も変わりつつある書き方が新鮮です。 「使者」としての役割が徐々に変化してる。 当然と思う、人も周りも変化しているんだから。 使者としての思い入れが今後どう変化するのか、作家の考え次第と思うが、奈緒との交際がどう変化するのか、続編に期待してしまう。 ツナグ人の世界をもっと広げて欲しい、ドイツ編なんかも面白いのではないでしょうか。 先ずは、2作目の余韻に浸りながら、もっとを求めてしまう。 我儘でしょうか・・・
読了日:07月25日 著者:辻村 深月
新装版・殺しの四人 仕掛人・藤枝梅安(一) (講談社文庫)新装版・殺しの四人 仕掛人・藤枝梅安(一) (講談社文庫)感想
【図書館】【再読】やはり池波作品は面白い。 もう、何回になるか再読に再読を重ねている。 その都度、面白い。 理屈抜きで楽しめる、黙って池波江戸情緒に浸れば良い。 能書きは後で良い、まず楽しむべきだ。 梅安さんシリーズ、図書館の蔵書の関係で後先に読んでいるが、そんな事を感じさせないくらい、面白すぎる。 感想文を書くために考え込んで読むのが馬鹿馬鹿しいくらい、スッと物語世界に入って行ける。 やはり、上質のエンターテナーだ。
読了日:07月26日 著者:池波 正太郎
新装版・梅安蟻地獄 仕掛人・藤枝梅安(二) (講談社文庫)新装版・梅安蟻地獄 仕掛人・藤枝梅安(二) (講談社文庫)感想
【図書館】【再読】 やっぱり池波の世界は良い。 すう~と入って行ける、語り口が上手いのだろう。 「二月の生暖かい夜であった」「お前、また少し太ったようだね」「その夜、藤枝梅安は・・・」どうだろう、転調の具合ですっかり場面展開を変えてしまう。 緊張と緩和、絶妙の手際では。 さて、小杉十五郎が登場する、歳若ながら剣の腕は凄いものを持っている。 上方に逃れているが、気になる存在です。 梅安の世界も徐々に判って来たようです。 西村左内、音羽の半右衛門、岬の千蔵、昔ドラマを観ていたお仲間には懐かしい名前が出て来る。
読了日:07月27日 著者:池波 正太郎
新装版・梅安最合傘 仕掛人・藤枝梅安(三) (講談社文庫)新装版・梅安最合傘 仕掛人・藤枝梅安(三) (講談社文庫)感想
【図書館】【再読】梅安・殺し針も巻数を重ね、いろいろ手が込んできた。 諸々の事情が絡むが、そこは折り合いを付けて処理する。 ただ「殺気」の料理屋で出会った女は特殊だった。十五年前に捨て子をした女だった。殺したい気持ちを込めて、縫い針と手紙を襟の上前に残す。 その最終予告は女に何を残すか、針の一刺しより余韻を残す終わり方だった。 藤枝梅安、残すところ「梅安乱れ雲」一つになってしまった。 いよいよ白子屋菊右衛門を仕掛ける巻だ、どうなるのでしょぅか、読んでいる筈ですが、忘れている。 楽しみです。
読了日:07月29日 著者:池波 正太郎
暴虎の牙暴虎の牙感想
【図書館】やっと読めました、「孤狼の血」完結編。 凄まじい男がもう一匹、沖虎彦。 ハングレ集団のボス、ヤクザとシャブ中を限りなく憎む男、半端ない暴力の世界に身を置く男。 作者は何を書きたかったのだろう、自分の人生を変えようとして変えられなかった男の悲哀か、それとも時代に取り残された孤独の男か・・・新聞小説のガンガンと追いつめる疾走感が楽しめました。 完結篇にしては小粒だったかなと思う、ガミさんと日岡の揃い踏みならもう少し大きく出来たのでは。とまれ、面白く読ませていただきました。 また、会いたいものですね。
読了日:07月30日 著者:柚月裕子
新装版・梅安乱れ雲 仕掛人・藤枝梅安(五) (講談社文庫)新装版・梅安乱れ雲 仕掛人・藤枝梅安(五) (講談社文庫)感想
【図書館】【再読】いよいよ独壇場、白子屋菊右衛門との最終決戦。 そこに至るまでの場面展開が素晴らしい。 梅安-彦次郎-十五郎-白木屋-暗殺者-音羽の半右衛門、これが時間を追って場面が切り替わる。 テンポの良い映画を観ているようでサスペンスが凄い。 お互いが殺し合う、しかも知らない内に別の計画が進んでいる。 300両の仕掛けとは豪勢だ、それだけ恨まれていたんだな。 しかし、但馬は哀れだったな、殺されかけて活かされて、感謝と矛盾に立たされて、でも最後は幸せだったのだろう。カメラマンの但馬氏がモデルと言う(笑)
読了日:07月31日 著者:池波 正太郎

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