12月の読書記録
相変わらず時代小説を中心に読んでいます。 今月は「生理用品」「愛の宿」等、思いがけない発見がありました。
12月の読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:3443
ナイス数:3984
本と幸せの感想
【図書館】北村薫が作家生活30年を記念して出した一冊。 流石、「本の達人」と言われるだけあって、その博識は凄まじいものがある。 江戸川乱歩から短歌まで幅広い知識が詰まっている。 なかでも、小沼丹への文章が嬉しい、「黒いハンカチ」読んだ事のある読者にはなるほどと頷ける。 凄い人だ博学だけでなく作家でもあるという事実が驚異的である。 添付のCDも遊び心満載で、一度は聞いて欲しい一枚。「さばの味噌煮」が父上の音程のリズム感が何とも言えない。あ~こういう歌だったのか、納得しました。確かに母と子の幸せがここにある。
読了日:12月03日 著者:北村 薫
風を繡う 針と剣 縫箔屋事件帖 (実業之日本社文庫)の感想
【図書館】シリーズ第一巻と親本の帯は謳っているが、完結している様にも見える。一巻ものにしては登場人物の書き方に比重の掛け方がおかしい、シリーズ物にしてはシーンの選び方が変。どっちつかずで始めた感がある、これで終わりだと締まらないので続くんだろう。とすると、各章のタイトルは縫箔はそんな種類があるんだろうか。ちゅきちゃきのお転婆娘と武士を辞めて職人へ弟子入りした剣の達人の捕物帳。事件のあらましより人となりを描いた始まりのように感じる、それにしては身近に関係者が揃い過ぎているような・・・シリーズ初刊と思いたい。
読了日:12月04日 著者:あさのあつこ
東京影同心 (講談社文庫)の感想
【図書館】面白かった、江戸から明治に変わる動乱期の同心の姿を描く。 杉本氏の書き方は、時代の動きを活写する為実際の事件を描くが、そこで時代に動かされないで主人公の話しの流れを止めず書いている事だと思う。 実際の事件に捉われて本筋が外れる時代劇が多いが、そこが素晴らしいと思う。 同心から居候、新聞記者と変遷するが、大切な人の為、一人尽力を尽くす、何という矜持であろうか。 小気味の良い「江戸弁」が随所に散りばめられているのも心地良い。 著者がもう居ない事が淋しい・・・米八は粋だなあ。
読了日:12月07日 著者:杉本 章子
風流江戸雀 (新潮文庫)の感想
【再読】暇になって手を伸ばす、一時江戸の風情に身を寄せる。 古川柳と日向子の浮世絵で情の世界に遊ぶ。 四角でも 炬燵は野暮な ものでなし 母の手を 握って炬燵 仕舞われる なんか粋ですよね。 含み笑いもありそうで。 針箱を 探すと女房 飛んで出る 妻の手を もぎりはなせば 母の文 なんか身に抓まされる様です。 静かな昼下がりにのんびり読むのに最適ですね。 杉浦日向子は、すんなりうなずける作家です。 もう居ないのが残念なだけ・・・
読了日:12月09日 著者:杉浦 日向子
生理用品の社会史: タブーから一大ビジネスへの感想
【図書館】ふと、目にして手に取った。 ビジネス書の体裁を取っているが女性史だった。 ナプキンが無かった時代の女性のご苦労が偲ばれる。 開発者・アンネ社にかなり頁を割いているが、凄い努力だと思う。 生理ビジネス、国民の約半数が女性と考えると、確かに大きいものに違いない。 しかし、今までの苦労を何とかしようと立ち上がる姿は尊い。 男性には判らない事が赤裸々に書かれている。 これは、男性も読むべきものだと思う。 そして、どうして秘密になってしまったかを知るべきである。 著者の探究心に拍手!
読了日:12月11日 著者:田中 ひかる
愛の宿の感想
【図書館】もし、あの夜、あのホテルに泊まらなければ・・・ラブホテルの死人騒ぎで警察から足止めを食ったカップルたちの心理を描く一篇。いろいろな事情を抱えた人達の後悔劇。39歳にもなって不倫しか生きて行けない女の痛み、ラブホテルで処女を捨てる19歳の少女の想い、同窓会で燃え上がりセックスまで行くが急に覚めてしまう44歳の主婦、童貞では無いが商売女としかセックスしてない34歳の男、素人女としたいが騙されてしまう、ホテルの経営者、自殺した当人の回顧録などが描かれる。花房観音のエロシリーズを期待すると肩透かしの一篇
読了日:12月13日 著者:花房 観音
わたつみの感想
【図書館】都会に傷ついて田舎に帰って来た女・京子、なすがまま海産物加工工場でアルバイトをしている。 滑り出しから何か不幸の匂いがする。 これは女子工員の曼荼羅図が繰り広げられると期待したが、そうでは無かった小さい田舎の人間関係に馴染もうとして馴染めない女の自立の物語だった。 セックスを背景に不倫、離婚夫婦、高齢処女、ジャバ行きさんが、人に言えない苦労をしてる。 路線変更で人を描いている観音様の力量発揮、東京に戻る決心をした京子に明日は有るか。 したたかで強い女たちの群像トラマである。
読了日:12月16日 著者:花房 観音
童の神の感想
【図書館】酒呑童子を主人公にした架空の物語。「ぼろ鳶」「くらまし屋」シリーズ作家の初期作品として読んだ。主人公は外国人、その他「京人」であらざる人は「童」「天狗」「土蜘蛛」「鬼」等の蔑称で呼ばれ迫害されていた、ここに「人間全て平等」を旗印に立ち上がる桜暁丸(酒呑童子)の活躍を描くスペクタクル・ロマンである。 しかし、このページ数では、足りなかったと思う。若干の舌足らずの場面が多い。寓話からの創作だから、どこまでも無いのだが・・・。しかし、後の作品を見れば物語を作る才能は確かにあると感じさせる。満足した。
読了日:12月20日 著者:今村翔吾
おやつが好きの感想
【図書館】坂木司の、おやつエッセイ。 「銀座百点」に連載されたせいで銀座が中心になっている。 銀座に勤めていた関係で懐かしくもあるが、宣伝臭くてあまり好きでは無い。 もっと柔軟に「おやつ」を書いて欲しかった。 大福とかアイスとか、それに纏わるエピソード的なものが、好きなんだけどなあ。 付属の「或る休日」と「チヨコレイコ」の短編が泣かせる。 「夜の光」につながるとは・・・
読了日:12月22日 著者:坂木 司
天満橋まで 風の市兵衛 弐 (祥伝社文庫)の感想
【図書館】シリーズ25巻目、未だ大阪にいる市兵衛さん。 世話になったお恒の息子が殺された、どうも腑に落ちないといろいろ調べてみると・・・米相場のからくりが詳しく描いてある、裏に回ってうまい汁を啜る輩。 謎解きは判ったが、それからが世間のしがらみで、にっちもさっちも行かない。 お調べはこんなもんだったのだろうな。 棲ざましい剣戟があるが、室生斎士郎の戦いは無駄でしょうね。 保科柳丈がお忍びで動くならまだしも、用心棒で飼っていたという感覚が判らない。刺客に無理難題を惜し付けすぎ。 久々の市兵衛に堪能しました。
読了日:12月23日 著者:辻堂魁
亥子ころころの感想
【図書館】やっと読めました、「まんまるの毬」から何年経ったかな。相変わらず南星屋は暖かい、冶兵衛の怪我がキッカケで旅鴉の菓子職人が居候に、そしてお永、お君、五郎も健在で菓子に纏わるあれこれに毎日を暮している。ストリーの本筋は、雲平の探す亥之吉の行方とお永の恋心の行き着く先、果たしてどういう事になりますか。お菓子の紹介と日々の暮らしを描いて天下一品、西条奈加の独壇場である。なかなか読めなかったのは今年の六月発売だったからだ、図書館は遅いですから。亥年中に読めて良かった。西条江戸話、やっぱり心から温まります。
読了日:12月25日 著者:西條 奈加
菊花の仇討ちの感想
【図書館】図書館の新刊コーナーを見ていたら「梶よう子」を見つけた。 梶よう子は「ヨイ豊」「お茶壺道中」等を読んでいたので面白そうと手に取った。 内容は、朝顔の品種改良して変化朝顔を咲かすのを夢見ている書き物同心の話しだった。 腕も顔も大したことは無い同心か、でも、それが魅力的に思えて来た。 梶よう子の時代劇は、その雰囲気で嵌まってしまう。 当たり外れもあるが、前作がありそうなので読んで見よう。しかし、連作とはいえ何年も待たせるのは勘弁して貰いたい、と思うのは私だけでは無いだろう とにかく、図書館に予約だ。
読了日:12月30日 著者:梶 よう子
読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:3443
ナイス数:3984
本と幸せの感想
【図書館】北村薫が作家生活30年を記念して出した一冊。 流石、「本の達人」と言われるだけあって、その博識は凄まじいものがある。 江戸川乱歩から短歌まで幅広い知識が詰まっている。 なかでも、小沼丹への文章が嬉しい、「黒いハンカチ」読んだ事のある読者にはなるほどと頷ける。 凄い人だ博学だけでなく作家でもあるという事実が驚異的である。 添付のCDも遊び心満載で、一度は聞いて欲しい一枚。「さばの味噌煮」が父上の音程のリズム感が何とも言えない。あ~こういう歌だったのか、納得しました。確かに母と子の幸せがここにある。
読了日:12月03日 著者:北村 薫
風を繡う 針と剣 縫箔屋事件帖 (実業之日本社文庫)の感想
【図書館】シリーズ第一巻と親本の帯は謳っているが、完結している様にも見える。一巻ものにしては登場人物の書き方に比重の掛け方がおかしい、シリーズ物にしてはシーンの選び方が変。どっちつかずで始めた感がある、これで終わりだと締まらないので続くんだろう。とすると、各章のタイトルは縫箔はそんな種類があるんだろうか。ちゅきちゃきのお転婆娘と武士を辞めて職人へ弟子入りした剣の達人の捕物帳。事件のあらましより人となりを描いた始まりのように感じる、それにしては身近に関係者が揃い過ぎているような・・・シリーズ初刊と思いたい。
読了日:12月04日 著者:あさのあつこ
東京影同心 (講談社文庫)の感想
【図書館】面白かった、江戸から明治に変わる動乱期の同心の姿を描く。 杉本氏の書き方は、時代の動きを活写する為実際の事件を描くが、そこで時代に動かされないで主人公の話しの流れを止めず書いている事だと思う。 実際の事件に捉われて本筋が外れる時代劇が多いが、そこが素晴らしいと思う。 同心から居候、新聞記者と変遷するが、大切な人の為、一人尽力を尽くす、何という矜持であろうか。 小気味の良い「江戸弁」が随所に散りばめられているのも心地良い。 著者がもう居ない事が淋しい・・・米八は粋だなあ。
読了日:12月07日 著者:杉本 章子
風流江戸雀 (新潮文庫)の感想
【再読】暇になって手を伸ばす、一時江戸の風情に身を寄せる。 古川柳と日向子の浮世絵で情の世界に遊ぶ。 四角でも 炬燵は野暮な ものでなし 母の手を 握って炬燵 仕舞われる なんか粋ですよね。 含み笑いもありそうで。 針箱を 探すと女房 飛んで出る 妻の手を もぎりはなせば 母の文 なんか身に抓まされる様です。 静かな昼下がりにのんびり読むのに最適ですね。 杉浦日向子は、すんなりうなずける作家です。 もう居ないのが残念なだけ・・・
読了日:12月09日 著者:杉浦 日向子
生理用品の社会史: タブーから一大ビジネスへの感想
【図書館】ふと、目にして手に取った。 ビジネス書の体裁を取っているが女性史だった。 ナプキンが無かった時代の女性のご苦労が偲ばれる。 開発者・アンネ社にかなり頁を割いているが、凄い努力だと思う。 生理ビジネス、国民の約半数が女性と考えると、確かに大きいものに違いない。 しかし、今までの苦労を何とかしようと立ち上がる姿は尊い。 男性には判らない事が赤裸々に書かれている。 これは、男性も読むべきものだと思う。 そして、どうして秘密になってしまったかを知るべきである。 著者の探究心に拍手!
読了日:12月11日 著者:田中 ひかる
愛の宿の感想
【図書館】もし、あの夜、あのホテルに泊まらなければ・・・ラブホテルの死人騒ぎで警察から足止めを食ったカップルたちの心理を描く一篇。いろいろな事情を抱えた人達の後悔劇。39歳にもなって不倫しか生きて行けない女の痛み、ラブホテルで処女を捨てる19歳の少女の想い、同窓会で燃え上がりセックスまで行くが急に覚めてしまう44歳の主婦、童貞では無いが商売女としかセックスしてない34歳の男、素人女としたいが騙されてしまう、ホテルの経営者、自殺した当人の回顧録などが描かれる。花房観音のエロシリーズを期待すると肩透かしの一篇
読了日:12月13日 著者:花房 観音
わたつみの感想
【図書館】都会に傷ついて田舎に帰って来た女・京子、なすがまま海産物加工工場でアルバイトをしている。 滑り出しから何か不幸の匂いがする。 これは女子工員の曼荼羅図が繰り広げられると期待したが、そうでは無かった小さい田舎の人間関係に馴染もうとして馴染めない女の自立の物語だった。 セックスを背景に不倫、離婚夫婦、高齢処女、ジャバ行きさんが、人に言えない苦労をしてる。 路線変更で人を描いている観音様の力量発揮、東京に戻る決心をした京子に明日は有るか。 したたかで強い女たちの群像トラマである。
読了日:12月16日 著者:花房 観音
童の神の感想
【図書館】酒呑童子を主人公にした架空の物語。「ぼろ鳶」「くらまし屋」シリーズ作家の初期作品として読んだ。主人公は外国人、その他「京人」であらざる人は「童」「天狗」「土蜘蛛」「鬼」等の蔑称で呼ばれ迫害されていた、ここに「人間全て平等」を旗印に立ち上がる桜暁丸(酒呑童子)の活躍を描くスペクタクル・ロマンである。 しかし、このページ数では、足りなかったと思う。若干の舌足らずの場面が多い。寓話からの創作だから、どこまでも無いのだが・・・。しかし、後の作品を見れば物語を作る才能は確かにあると感じさせる。満足した。
読了日:12月20日 著者:今村翔吾
おやつが好きの感想
【図書館】坂木司の、おやつエッセイ。 「銀座百点」に連載されたせいで銀座が中心になっている。 銀座に勤めていた関係で懐かしくもあるが、宣伝臭くてあまり好きでは無い。 もっと柔軟に「おやつ」を書いて欲しかった。 大福とかアイスとか、それに纏わるエピソード的なものが、好きなんだけどなあ。 付属の「或る休日」と「チヨコレイコ」の短編が泣かせる。 「夜の光」につながるとは・・・
読了日:12月22日 著者:坂木 司
天満橋まで 風の市兵衛 弐 (祥伝社文庫)の感想
【図書館】シリーズ25巻目、未だ大阪にいる市兵衛さん。 世話になったお恒の息子が殺された、どうも腑に落ちないといろいろ調べてみると・・・米相場のからくりが詳しく描いてある、裏に回ってうまい汁を啜る輩。 謎解きは判ったが、それからが世間のしがらみで、にっちもさっちも行かない。 お調べはこんなもんだったのだろうな。 棲ざましい剣戟があるが、室生斎士郎の戦いは無駄でしょうね。 保科柳丈がお忍びで動くならまだしも、用心棒で飼っていたという感覚が判らない。刺客に無理難題を惜し付けすぎ。 久々の市兵衛に堪能しました。
読了日:12月23日 著者:辻堂魁
亥子ころころの感想
【図書館】やっと読めました、「まんまるの毬」から何年経ったかな。相変わらず南星屋は暖かい、冶兵衛の怪我がキッカケで旅鴉の菓子職人が居候に、そしてお永、お君、五郎も健在で菓子に纏わるあれこれに毎日を暮している。ストリーの本筋は、雲平の探す亥之吉の行方とお永の恋心の行き着く先、果たしてどういう事になりますか。お菓子の紹介と日々の暮らしを描いて天下一品、西条奈加の独壇場である。なかなか読めなかったのは今年の六月発売だったからだ、図書館は遅いですから。亥年中に読めて良かった。西条江戸話、やっぱり心から温まります。
読了日:12月25日 著者:西條 奈加
菊花の仇討ちの感想
【図書館】図書館の新刊コーナーを見ていたら「梶よう子」を見つけた。 梶よう子は「ヨイ豊」「お茶壺道中」等を読んでいたので面白そうと手に取った。 内容は、朝顔の品種改良して変化朝顔を咲かすのを夢見ている書き物同心の話しだった。 腕も顔も大したことは無い同心か、でも、それが魅力的に思えて来た。 梶よう子の時代劇は、その雰囲気で嵌まってしまう。 当たり外れもあるが、前作がありそうなので読んで見よう。しかし、連作とはいえ何年も待たせるのは勘弁して貰いたい、と思うのは私だけでは無いだろう とにかく、図書館に予約だ。
読了日:12月30日 著者:梶 よう子
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