6月の読書記録 読書メーターより
今月は「三鬼」と「波形の声」が心に残りました。
読んだ本の数:14
読んだページ数:3672
ナイス数:2131
三鬼 三島屋変調百物語四之続の感想
【図書館】三島屋変調百物語の4巻目、565頁、流石に重い(重量も)ようやく読み終わりました。 「三鬼」の意味を考え始めたら、迷宮に陥りました。 しかし、人と言う生き物は怖いなぁと思いました。 そして、どこまで信用して良いものなのか。 ひだる神さまは出世の戒めに出て来たような・・・ 「迷いの旅籠」は、長いし判りづらい、調子に乗るまで苦労しました。 「おくらさま」おちかに黒白の間に取り込まれてはいけないと促すお梅さんが愛しい。 瓢箪古堂の若旦那・勘一、気になるキャラが出て来ました。これは、楽しみです。
読了日:06月03日 著者:宮部 みゆき
樹海警察 (ハルキ文庫)の感想
【図書館】「福家警部補の~」や「警視庁いきもの係」の大倉崇裕氏のミステリー。 図書館で見つけて借りて来たが、なかなか面白い。 例により桃栗三年柿八年、の通りの登場人物その他、果物に関係する名前の検察官多数出演する。 ミステリーはそこそこ、やり取りのテンポが心地良い。 どこか陰のある栗柄巡査と桃園巡査のコンビの掛け合いが、大倉流、落語の間合いである。 しかし、表紙の絵はどうにか出来なかったのでしょうか。 まるで、小学生の様な稚拙な画は画稿料を取っているのでしょうか。 私でも描ける。 続編は変更を望む。
読了日:06月06日 著者:大倉崇裕
ないもの、ありますの感想
【再読】医者に行くのに適当な本をと思ったが、読みかけている本は重い・・・で、前に読んだ比較的軽めの本を見つけた。 これは診察を待つのに絶好の本です。 ちょっと読めるし洒落が気が利いている。 「堪忍袋の緒」とか「転ばぬ先の杖」など、不可思議なものが沢山出てくる。 クラフト・エヴィグ商會、只ならぬ感性です。
読了日:06月10日 著者:クラフト・エヴィング商會
21世紀本格ミステリ映像大全の感想
【図書館】暇つぶしに良さそうなので借りて来た。 意外と知らない外国映画やドラマがあって面白い。 パラパラと見るのも、映像化作品のガイドにも役に立ちそう。 今見てる「シグナル」の韓国版も出ていて、なるほどなぁと、いろいろ楽しめます。 国内外のミステリーの映像化作品が年度から監督、出演者まで網羅して盛り沢山。 意外と「楽しめる」一冊です。
読了日:06月11日 著者:千街晶之
きりえ入門 (カラーブックス 469)の感想
【再読】もう何回、この本を開いただろう。 ふと、気が付くと・・・迷った時・・・開いている。 この本は、切り絵の造り方から、道具、歴史やいろいろな切り絵作家等、読んでいるだけでも楽しめる。 いろいろな作家のテクニックや素材の扱い方まで網羅している。 いつまでも手元に置いておきたい一冊です。
読了日:06月12日 著者:
日本のきりえ (1978年)の感想
【再読】きりえ協会会員134名の力を合わせた、きりえの本。 これを見ているだけでワクワクして来ます。 きりえといっても、いろいろあるものだなぁと思います。 これが原点なのだと毎回思う。
読了日:06月12日 著者:
ヴェネツィア便りの感想
【図書館】北村薫の短編集。 相変わらず、端正な日本語を紡ぐ人だ。 掌編、短編が、詰まっているが、「黒い手帖」の追い込みがゾッとする。 表題作「ヴェネツィア便り」は、単に若かりし時代への想い出と思ったが、歳を経て若かりし自分に宛てた私信だった。 歳を取り見えてくるものもあると言う事ですよね。 ちょっと独りよがりな頁もあったが、さすが北村薫ピリッとしたところもあった。 益々、健在で結構な事です。
読了日:06月18日 著者:北村 薫
狂人関係 1 (青林傑作シリーズ)の感想
何となく取り出して読んで見る。 やっぱり上村一夫は凄いてなぁと思う。 何回読んでも、この表現力は一線を画している。 風の趣、雪の流れ、風景描写が凄く良い。 画狂人・北斎の物語である。 狂言廻しに狩野幽斎の倅・捨八を当てて、娘のお栄、八百屋お七の二代目お七、安藤広重、蔦屋重三郎などの多彩な登場人物で彩る。 やっぱり、上村一夫は最高だ!
読了日:06月19日 著者:上村一夫
狂人関係 2 (青林傑作シリーズ)の感想
この年の北斎は憂いていた、可楽が死に、歌麿が逝き、一九も亡くなった。 写楽も山東京伝もそして三馬が・・・友人の馬琴は失明していた、天保四年のことだった。 一方、捨八は益々お七に入れあげていた。 ところが、お七の火を見ると異常に燃える性欲に徐々に拍車が掛かっていた。 このままでは済まない調子、そんな中、北斎の「夢十夜」が彫師宅の延焼で版木が燃えてしまう。 益々、目が離せない、お七の狂気が凄まじい勢いで燃焼する。 上村一夫、絶好調である。
読了日:06月19日 著者:上村一夫
狂人関係 3 (青林傑作シリーズ)の感想
二代目・八百屋お七の狂気が迸る、情念の炎が更に燃え上がる。 蕎麦の屋台からの火が大江戸八百八町を舐めつくす大火に。 指名手配になったお七、捕まり獄門に。 捨八、北斎の気持ちは・・・心配するお栄の心持は・・・火に対する憧れと揺れ動く男への気持ち、身体、お七の心は壊れていく。 上村一夫が絵筆に込めて描き上げる女心の深遠を括目して見よ。 第3部、いよいよ佳境である。
読了日:06月20日 著者:上村一夫
狂人関係 4―第4部 (青林傑作シリーズ)の感想
遂に、大団円。 蔦屋重三郎が切腹、お栄は捨八との所帯を考えるが・・・そして滝沢馬琴が俺の人生は「負け戦だ」とつぶやいてこと切れる。 葛飾北斎、九十歳の生涯に幕を閉じる。 辞世の句 気散じや 人魂で行く 夏野原 お栄が妊娠した捨八に告げぬまま失踪する。 東海道・戸塚宿で消息を絶ち行方不明との事。 一方、捨八は多額の借金を踏み倒し、旅先で遊興三昧、有り金を無くすとひと月も旅籠に居続け精算の時雀を描いて宿代に。 それが翌朝「抜け雀」として飛び立ってしまった。 捨八、一世一代の物語これにて完結。 上村は良いなぁ
読了日:06月21日 著者:上村一夫
とんずら屋弥生請負帖の感想
【図書館】とんずら屋・・・「夜逃げ屋本舗」の時代劇を想像していたのですが、お姫様の男装姿の船頭の話。 「弥生請負帖」ってあるくらいだから短編が何編かあると思ったら3篇のみ、話は続き物で御家騒動ばかり。 田牧大和だからこう来るだろうという推量は見事に外れ。 書き方にリズムが無く読みづらい、〈裏〉も、もう少し工夫して区別を付けないと見過ごしてしまう。 続編もあるらしいが、この辺りで良しとするか。
読了日:06月24日 著者:田牧 大和
波形の声 (文芸書)の感想
【図書館】完全に独立した短編集。 どれも「日常」の謎を扱っている。 それぞれに意外性があるが表題作「波形の声」がいろいろな事情が絡み合って、余韻を残す。 著者の長岡弘樹は言葉に一言ある作家で言葉の使い方が上手い。 こういう発想は、ちょっとひねくれている感じが良い。 大変満足した一冊でした。 「教場」に代表される長編も良いが、ひねりを加えた短編も良いものだ。 初期の「傍聞き」を思い出した。
読了日:06月27日 著者:長岡 弘樹
媚薬行 ((青林傑作シリーズ・20))の感想
【再読】やはり良い、独特の絵柄とちょっとした仕草に村野節を感じます。 媚薬に頼りその顛末は・・・ 愚かしいと思うのは勝手ですが、そこには人間的な弱さが・・・ 美しい自然描写と人間の愚かな行為。 1978年の作品だがまだ出版しているのでしょうか。
読了日:06月29日 著者:村野守美
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