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2012年1月19日 (木)

読書の愉しみ♪  読後編

1
「真夜中のパン屋さん」 大沼紀子・著 ポプラ文庫
都会の片隅に真夜中の23時30分から朝の9時00分だけ開くパン屋さん。 オーナーの暮林、パン職人の弘基の店に、オーナーの奥さんの「腹違い」の妹という女子高生が訪ねて来る。 一見平和そうなこの店も皆それぞれの悩みを抱えていた。 
女子高校生の希美は、自由奔放な母親と二人暮らしだが、男にだらしない母親のため親族はもとより、仕事場の同僚、友達などに一人で長期の居候を余儀なくされる人生を歩んで来た。 
小学生の「こだま」がパンを万引きしたことから、その母親の複雑な状況を知ることになる。 母親の失踪、パンのデリバリーで知り合った引きこもりの脚本家、オカマのソフィア、こだまの父親などのエピソードが絡まり、やがて物語はひとつになって行く。 

登場人物一人一人が心に傷を持っている事が明かされ、それぞれが再生の道を歩き始めるとき新たな希望が見えてくる。 
喜怒哀楽、個性的な性格描写が際立つ作品です。 期待の新鋭が贈る、甘酸っぱさとほろ苦さが心に沁みる、ちょっぴり切ないハートフルストーリー。 
昨年6月に刊行された作品ですが、半年で15万部を突破した隠れたベストセラーです。 

本年2月に第二弾「真夜中のパン屋さん・午前1時の恋泥棒」が発行されます。 
果たして真夜中だけ営業するスタイルの説明はこの巻で明かされるのでしょうか。 
ドラマ化必至の最有望株かと思います。

カバー画を売出し中の人気漫画家「山中ヒコ」が描いています。 カバーの甘い雰囲気から青春ラブコメと思ったら大間違いの骨太のヒューマンドラマです。

2
「殺人鬼フジコの衝動」 真梨幸子・著 徳間文庫・刊
作者は「孤虫症」「更年期少女」で人間心理を描いた異色の作家です。 
この作品も、これでもかと、たたみ掛ける怒涛の心理描写が展開します。 
お話しは一家殺人事件でひとり生き残った11歳の少女、だが彼女の人生はいつしか狂い始めて殺人鬼に・・・

どうしようも無く救いの無い物語、人間の持つ「いやらしさ」、「心の闇」を徹底して描いています。 最後まで読むと生善説などあるのかと絶望に苛まれるほどの残虐描写。 
この作家の作品は常に「心に潜む暗い闇の深遠」を描いていますが、一歩間違えたら私でもと、思わせる「人間の業」の深さを目の前に突き付けて来ます。

 
「はしがき」から「あとがき」までをも物語に組み込んだ一流のミステリーでもあります。 
どうぞ「あとがき」その後までご覧ください、最後の一行に仕掛けられた著者のたくらみにあなたはきっと戦慄し、そして慟哭を禁じ得ないでしょう。 
これを読むと人間が信じられなくなってしまう程の衝撃的な作品です。 
どうか「あとがき」までたどりつきますように。

3
「マジカル・ドロップス」 風野 潮・著 光文社文庫 
菜穂子は平凡な主婦42歳、夫とはすれ違い、息子や娘には無視される。 
ひょんなことから27年前に埋めたタイムカプセルに入っていた今は亡き親友の缶入りドロップを舐めてびっくり。 なんと15歳の頃の自分に若返ってしまう・・・
魔法の効果は一粒「2時間17分」、女子高生ナオに変身した菜穂子がやりたかったこととは・・・

中年主婦の心を持った女子高校生、ユーモラスな文体に「温かく」そして「ちょっぴり切ない」、異色青春小説。 
友情とは家族とは、変身して初めて判る心の揺れ、新しい自分への挑戦は幾つになっても出来るんだと教えてくれる。 
そして、そっと背中を押してもくれるそんなハートウオームな作品です。 

著者は第38回講談社児童文学新人賞を「ビート・キッズ」でデビュー。
同作品で第36回野間児童文芸新人賞、第9回椋鳩十児童文学賞を受賞した児童文学の第一人者です。 
全編に流れる80年代のロックミュージックが新旧の青春を包み込んで疾走するロードムービー感覚のスピード感あふれるSF青春小説でもあります。 
是非、ご一読を。

上記二つは暮れの年末年始に読みたい本でご紹介いたしましたが、上っ面の紹介に終始いたしましたので改めて物語に踏み込んでみました。
新しい作家との出会いが増えてきた新年幕開けの読書傾向です。 時代小説はこれまで通りですが、今年は新ジャンルにも挑戦したいと思います。
そんな「これから読む本」の一冊をご覧いただきながら、お別れです。

いつもありがとうございます。
では、又♪

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コメント

 いつもながら、ぶんぶんさんの紹介本は全部読みたくなっちゃいます。
アンテナの指向性が鋭くて、本屋大賞とる本や人気がこれから出る本をキッチリおさえている所に感心しています。

 前に紹介された「ダーティママ」も今ドラマ化してますし、「ビブリア古書店の事件帖」は今日行った紀伊国屋書店川越店で人気2位と3位でした。

 「真夜中のパン屋さん」もきっとドラマになるのだろうと思います。

 そして、そして、これをいいたかったのですが「殺人鬼フジコの衝動」!

 私は最近会社で仕事の合間に「本好き」の同僚と本の話をしています。

 同僚が「殺人鬼フジコの衝動」が「やりきれない話でねー」と言い、これは私が以前読書会に持って行った「更年期少女」の真梨幸子さんの本だ、ということで「孤虫症」も読んだ、読んだと盛り上がり、真梨さんのブログもあるよ、と教えてあげたのでした。

 そうしたら「Hさん(私の本名)とこんどお茶でも飲みながら本の話がしたい。」と言われました。

 で、まだ読んでいなかった「殺人鬼フジコの衝動」を図書館にリクエストしました。
久しぶりに真梨さんのブログもみたら、本も結構売れてきたようで。

 それが、なんと昨日のことなのです。
きのう、ですよ!
このブログ記事を見る前!
びっくりしました。
ぶんぶんさんとはなんだか不思議な縁がありますねー。

投稿: しいか | 2012年1月19日 (木) 23時49分

 いつもながらの見事な紹介、どれもみな読みたくなりました。

 「真夜中のパン屋さん」、「マジカルドロップス」探してみようかなと思っています。「殺人鬼フジコ…。」は紹介を読んでちょっと躊躇してしまいます。

投稿: しのさん | 2012年1月20日 (金) 19時29分

しいかさん、こんばんは♪

暮れに読もうと買い込んだ本ですが、酒とバラの日々を過ごしてしまい(笑)今頃読後感を書いています。
「真夜中のパン屋さん」すごく良いですよ。
序盤から徐々に盛り上がる物語が書き手の腕の良さを感じます。
来月発売の第二巻も期待大です。

「殺人鬼フジコ~」読書会でしいかさんから紹介された「更年期少女」の流れと同じ、いや益々人間の暗部を描き出しています。
この人の作品には「善人」は登場しないのでしょうか。
良いも悪いもぐいぐいと引きつける魅力は否めませんね。
人間の業の深さをまざまざと見せつける作品かと思います。
人は弱い存在なんだなと、改めて思いました。

しいかさんと私は読書傾向が似ている面がありますね。
感性というか、考え方が似ているのかも知れません。

まあ、お互いにたくさんの本を読んでいるので、方向性の似た本を読むこともあるでしょう。
でも、「9月が永遠に~」とか、今回の事とか、一緒の時期にというのは、果たして偶然なのでしょうか。
何となく「嬉しい」感じがします。
次回は何の本でニアミス出来ますでしょうか(笑)

いつもありがとうございます。
読書会には何を披露しようか悩んでいます。

では、又♪

投稿: ぶんぶん | 2012年1月21日 (土) 00時38分

しのさん、こんばんは♪

私の稚拙な紹介文で読みたいと言っていただけるなんて、とても光栄です。
本読みは、とかく理屈を並べ立てますが、良い作品は最初の一行で肌に合うか合わないか判りますよね。
生き方、物の考え方、方向性が合致すると物語が自然に昇華する感じがします。

お気に召すか召さぬかは、読んで見なくては判りません。
ただ、世界観はお伝え出来ていると思います。
是非、お手に取ってみて下さい。

いつもありがとうございます。
奥方の具合はいかがですか、お大事にして上げて下さいね。

では、又♪

投稿: ぶんぶん | 2012年1月21日 (土) 00時51分

 「真夜中のパン屋さん」読みました。

 なんとなく自分の心の故郷に立ち返るようなそんな感じを受けました。

 主人公の境遇はともかく、だれでもこんな思いにひたることがあるのではないのかなと思ってしまいます。

 読んでよかったと思う1冊でした。ご紹介ありがとうございました。

投稿: しのさん | 2012年1月22日 (日) 18時14分

しのさん、こんばんは♪

さすが、行動が早いですね。
「まよパン」シリーズ決定ですって。

第2巻は2月3日の発売です。
こんどは、バレンタインの騒動ですって。

乞うご期待を!

いつもありがとうございます。
では、又♪

投稿: ぶんぶん | 2012年1月22日 (日) 18時55分

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