読書の愉しみ 秋の夜長編♪
灯火親しむの秋です。 最近読んだ本の紹介を・・・
例によってミステリーからルポルタージュまでと、一貫性がありませんが、そこがまた読書の楽しみですよね。 では!
「原節子」 あるがままに生きて
貴田 庄・著 朝日新聞出版・刊
原節子って、知ってますか? 私も現実には見たことはありません、しかし小津安二郎監督の映画のヒロインとしては知っています。 14歳でデビューして42歳で引退した「伝説の女優」です。 その後マスコミには顔を見せず、現在も消息不明です。 ですから、本人のインタビューなど取れる訳も無し、関係者の話も信憑性を持ちません。 そこで、彼女の資料から浮かび上がる「本人の残した数少ない言葉」を発見し、その素顔に迫ります。 著者は「小津安二郎映画」の研究家で、関連本を何冊も出しています。 そんな著者が見つけた意外な素顔とは・・・ 趣味は読書とビールなど、気品とユーモアに満ち溢れたチャーミングな「原節子」に出会える一冊です。
「潜入ルポ アマゾン・ドット・コム」
横田 増生・著 朝日新聞出版・刊
巨大流通組織「アマゾン・ジャパン」その物流倉庫に半年間潜入調査したジャーナリストの話。 完全なる秘密主義の組織に単身潜入、そこで彼が見たものとは・・・ 徹底した合理主義と身分の「カースト制度」 「ブックオフ」との取引とは、「マーケットプライス」に潜む罠とは・・・巨大企業の裏舞台を暴く問題作。
「食べ物日記」鬼平誕生のころ
池波正太郎・著 文春文庫・刊
昭和43年1月から12月まで365日の献立を克明に記した日記。 「鬼平」連載のスタートから、日々の来客、出来事、旅、映画など、まるで一緒に暮らしているかのような錯覚に陥ってしまう日記です。 同年執筆のエッセイや山本一力×池内紀の池波を偲ぶ対談、担当編集者座談会などを同時収録した「池波好き」にはたまらない一冊です。
「作家の口福」
恩田 陸ほか・著 朝日新聞出版・刊
朝日新聞・土曜別刷り「Be」連載の人気リレーエッセイ。 一作家が四週に亘って「食」に関して、自分だけの「ご馳走」を明かす。 贅沢なチーズ鱈、はんぺんのオイルフォンデュ、白砂糖入りの七草粥など、読めば納得の極上メニューの数々。 著者は表題のほか、「山本文緒」「三浦しをん」「川上未映子」「道尾秀介」「角田光代」「池井戸 潤」「森 絵都」など、二〇人、さすがは作家さんです、思わず生つばごっくんの描写が見事です。
「スノーフレーク」
大崎 梢・著 角川文庫・刊
函館に住む高校三年生の桜井真乃、あと二週間で東京の大学に行く。 そんな彼女の前に、小学校時代の幼なじみ似た青年が現れる。 その幼なじみは事故で亡くなったはずなのに・・・ 大人になる前の少女の気持ちの揺れを「昔の事故死」の謎を絡めながら描く、ちょっぴり切ない恋愛青春ミステリー。 今夏、映画も公開された人気作です。 表紙が最近珍しい「ダブルカバー」です、映画のカバーを外すと風花が舞う卒業間近の仲良し四人組のイラストが表れます。 こちらも青春ものらしくて素敵です。 ところで、スノーフレークとスノードロップ(共に冬の花)の違いって判ります? これが謎解きのヒントです。
「九月の恋と出会うまで」
松尾由美・著 新潮文庫・刊
新しく引っ越したマンションのエアコン取り付け用の穴から声が聞こえる。 それは只の声では無く、一年先の未来からの「声」だった。 果たして誰が、そして、その声が依頼した内容とは・・・ 男はみんな奇跡を起こしたい、好きになった女性のために。 時空を超えたラブストーリー、果たしてどんな結末が・・・人を好きになるってこんな感じかなっと、思わせる愛と不思議のSFロマン、秋にふさわしい一冊です。
「北村薫のミステリびっくり箱」
北村薫・著 角川文庫・刊
ミステリの大御所・江戸川乱歩が「探偵作家クラブ」の会報に残した足跡を追い、各ジャンルの一線級のゲストを迎えて、再構築するスペシャル対談集。 乱歩と志ん生の座談会、探偵作家の将棋大会、探偵作家が忍者と会う、嘘発見機に落語、手品から本物の探偵まで、探偵作家クラブ時代の催し物を現代に置き換えて再現するミステリ好きには垂涎の一冊です。
「ほたる」
北原亞以子・著 新潮文庫・刊
慶次郎縁側日記シリーズ、第十弾! 浮気、妻への暴力、借金の罠・・・ 市井で泣く人々を、心に鬼を飼う仏の隠居・慶次郎が情けで救う好評シリーズの文庫判・最新作。
「父の戦地」
北原亞以子・著 新潮文庫・刊
南方の戦地から幼い娘に送った父からの七十余通の絵入り軍事郵便。 南方ビルマへ出征した家具職人だった父、昭和17年から3年間、幼い著者に送り続けた手紙。 そこにはいつも娘の健康を気遣う言葉とユーモアたっぷりのイラストが添えられていた。 時代劇の名手が戦争のむごさ、そしてついに生きて会えなかった父への限りない愛惜を綴る慟哭の回想記。
「HER」
ヤマシタトモコ・著 祥伝社・刊
女たらしの男性客に不穏な妄想を抱く美容師、白髪の老女のレズビアンに惹かれる高校生処女、母の不倫のトラウマから「一夜限り」を繰り返す地味女OLなど、オンナたちの本音を描く可憐で獰猛な全六篇の短編集。 「このマンガがすごい!」2011年度【オンナ編】で、堂々の一位入賞作品。 各話の後日談を描き下ろしで収録。 男子も必見のオンナの怖くて深い~話。
「兄(アニ)さんと僕」
西 炯子・著 白泉社・刊
ひょんなことから落語家に弟子入りした間抜けな25歳の元銀行員、ところが兄弟子は師匠の孫(小学5年生)。 ドジな新弟子と小生意気なアニさんとの日々をユーモラスに描く人情喜劇コミック。 巻末に落語好きの著者と著者が抱かれたい男のベスト5に入っているという落語家・柳家喬太郎師匠とのスペシャル対談を収録。
以上、最近読んだ本・秋の夜長編でした。 ところで皆さん、本を読む基準ってどうしてますか? 私は「新刊案内」で事前にチェックして、古本屋さんで購入するのですが(本屋のオバさん、ゴメンナサイ!) 読みたい本ってどうしてますか、新聞の書評欄? 図書館で検索? それとも書店の店頭、はたまたネット書店でチェックかな? 本との出会い・・・たまに待ち伏せをくらったりしませんか。 カバーが良くてジャケ買いしたりしませんか?
いつもありがとうございます。
では、又♪
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 五月の読書記録 読書メーターより(2021.06.02)
- 4月の読書記録 読書メーターより(2021.05.02)
- 3月の読書記録 読書メーターより(2021.04.01)
- 2月の読書記録 読書メーターより(2021.03.01)
- 12月の読書記録 読書メーターより(2021.01.03)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
ぶんぶんさんのレパートリーの広さに頭が下がります。
そしてブックトークこれで興味が倍増しますね。
皆さん、それぞれ読む本の傾向が違いますがときおり他の方が読んでいる本に刺激を受けて読んでみると面白いことってありますね。
北原氏の作品ぶんぶんさんは、お好きなのですね。
私は『スノーフレーク』読んでみたいです。恋愛もの苦手だけど読むと若返るかしら?
本のご紹介ありがとうございます。
どうぞ、古書店(ブック○○)ご利用してください。
私もときおり見にいきますよ。
投稿: 本屋のオバさん | 2011年10月16日 (日) 17時22分
ぶんぶんさん こんばんは
ほんと!
ぶんぶんさんの幅広いレパートリーに感心しきりです
そして・・紹介された本はどれも読んでみたくなります
読書の秋なのに~
忙しさにかまけて、このところ全然本を読んでいません(^^ゞ
本を読む基準・・図書館で借りる事の多い私は
まず返却されて、まだ棚に戻されない状態の棚にある
コーナーに向かいます(笑
誰かが選んで読んだという事は~~面白い?かと(笑
それに、ぶんぶんさんがご紹介して下さる本のタイトルも
頭に入れて~
新刊書を予約することはないですね(*´σー`)
「スノーフレーク」の謎解きって?
青春ミステリー面白そう!今度探してみます
↓ 古い画帳から ぶんぶんさんの画がたくさん♪
年賀状に頂いたものからポストカードで頂いたものまで
手元にあるのも いくつか
どんどん上達されて
ぶんぶん水彩画ヒストリーですね(^_-)-☆
とても懐かしく拝見させて頂きました
投稿: kei | 2011年10月16日 (日) 19時42分
オバさん、こんばんは♪
いつでも身近に本のある生活ってどんなんでしょうね。
却って読まないのかも知れませんね。
しかもそれが、生活が懸かった商品となれば別物ですね。
商品の陳列で、読みたい本か読ませたい本かで迷いませ
んか。
コミックやヤング文庫の商品予約は、どなたの担当でしょうか。
ちょっと、気になりますね(笑)
今回、コミックを除いて全て「文庫本」でしたが、小さい活字は
大丈夫ですか?
私は近視なので眼鏡を外せば大丈夫です。
眼鏡は遠近両用なのですが、あまり役に立ちません。
いつもありがとうございます。
「スノーフレーク」親本(単行本)でお楽しみ下さい。
では、又♪
投稿: ぶんぶん | 2011年10月16日 (日) 22時15分
keiさん、こんばんは♪
返却済みの本って、意外と新しい本がありまよね。
リクエスト待ちのものは出ませんが、ベストセラーが戻ったば
かりということもありますしね。
keiさんも、文庫本は苦手でしたよね。
「スノーフレーク」は単行本(表紙の厚い、大きなサイズの本)
を図書館で探して下さいね。
いつもありがとうございます。
半身浴のお供に「本」は健在ですか?
ぐっと冷え込んで参りました、湯冷めをしないようにね。
では、又♪
投稿: ぶんぶん | 2011年10月16日 (日) 22時30分
ぶんぶんさんの本の紹介は、簡潔でよくまとまっていて、いつも感心しています。
あれもこれも読みたいな、でもお借りすると重い思いをさせて申し訳ないなあと煩悶しつつ、「九月の恋と出会うまで」は、図書館でリクエストしました。
でも「HER」は図書館にないので、お願い、これだけお貸しくださいませ
投稿: 丘野詩果 | 2011年10月19日 (水) 21時10分
しいかさん、こんばんは♪
はははっ、何を遠慮しているのですか、本の重みは自分の
「想い」と考えています。
感動の手渡しです、その重みが共感と考えたらなんぼのこと
ではありません。
私の手元にあるものならご遠慮なくおっしゃって下さいね。
しかも「9月の恋~」は文庫です。
確かに貸し借りで持って帰ったり、また持って行くのは面倒と
の、お考えもありましょうが・・・
「HER」は是非、読んでみて下さい。
女性なら共感する部分があると思います。
そして、嫌な面も再発見するかも知れません(笑)
男の私でも「そうなんだろうな」というシーンがありました。
次回の「読書会」にお持ちいたします。
いつもありがとうございます。
秋を通り越して「冬」の気配すら感じます、どうぞ風邪など
召しませぬように。
では、又♪
投稿: ぶんぶん | 2011年10月19日 (水) 22時25分