読書の楽しみ♪ (時代小説編)
今回は、ぶんぶんが時代小説に「はまった」きっかけのお話しを・・・
遅ればせながら最近、宇江佐真理氏の「ウエザ・リポート」というエッセイを読みました。 (9月に文庫版が文藝春秋より刊行予定です) その中で、「切腹」という映画を褒めています。 仲代達矢・主演 小林正樹・監督の1962年公開の白黒映画です。 同監督の1967年公開の「上意射ち・拝領妻始末」は観ていたのですが、こちらは未見でした。 両方とも武士道とは、侍とはという強烈なアッピールをしている名作です。 「切腹」は家族の窮状を何とかしたくて、当時流行っていた大名家の門前で切腹したいと申し出る若い侍の場面から始まります。 大名家では後が面倒なので何がしかの金を与えて処理をしていた。 しかし、名門・井伊家は違っていた、「見事、切腹をされよ」と若い侍は無理矢理切腹をさせられてしまう。 後日、初老の侍が門前にての「切腹」を申し出る、前回と同じく場を設えるが。 その侍こそが先日の若侍の義理の父(仲代達矢)、そこで語られる話とは・・・
「上意射ち・拝領妻始末」 三船敏郎・主演 同監督作品 藩主が気に入らぬ側室を家臣に下げ渡す、拝領妻である。 三船演じる家臣の息子(加藤 剛)に命が下る、いろいろな葛藤の末、押し頂くことになる。 元側室でありながらも貞淑な妻(司 葉子)との生活に一子が生まれる。 ところが藩主の嫡子が急逝、側室であった妻の子供が世継ぎになる。 一度拝領した妻を再び城に戻せとの命が来る・・・ 上意射ちに背いて妻を守るため親子が決然と立つ。
という、映画(DVD)だったのですが、この映画を観てこの本を思い出したのです。
『時代劇 ここにあり』 川本三郎
2005年 平凡社・刊 2500円+税
この本は、昭和から平成にかけての時代劇映画を紹介したものです。 もちろん上記の作品を始め100本以上の作品を映画ポスター、名場面と共に紹介しています。 平均5ページくらいを割き各作品の「見どころ」と感想を書き綴っています。 巻末にはDVD、ビデオ化情報も併録し、時代劇ファンには欠かせない一冊かと思います。
と、ここまで来て、そう言えば「私が時代小説に手を出したのはいつ頃だろう」と思ったのです。 で、「木枯し紋次郎」が最初かな?と・・・
「見かえり峠の落日」 笹沢左保 昭和45年 講談社・刊 520円 紋次郎に先立つ半年前の刊行です。 思えばここから「新股旅もの」というジャンルが確立されたのです。 昔の長谷川 伸作品の「股旅もの」とは違って、生き方も現実的な渡世人が街道を行く。 ストーリーも「推理もの」得意とする著者らしく謎解きも用意されています。 「〇〇峠に〇〇を見た」というようなタイトルは、本編の「中山峠に地獄を見た」が最初です。 以後、峠シリーズの短編・連作短編が生まれます。 この本はテレビの「木枯らし紋次郎」(主演・中村敦夫 監督・市川 崑)の放送を観て手にしたものです。 カバーの装画が、スターウォーズのポスターで有名な「生頼範義」氏です。 四六上製本が520円とは時代ですね(笑) 「赦免花は散った」 笹沢左保 昭和46年 講談社・刊 明けて8月「新股旅もの」として、木枯し紋次郎の第一作が刊行されました。 私が持っているのは、四十七年二月の三刷ですから、テレビの紋次郎は四十七年一月から放送されたと思います。 装画と挿絵の「岩田専太郎」画伯の絵が良いのです、特に女性を描くと美人画の大家でもある氏の独壇場です。 単行本の「扉画」の紋次郎です、雰囲気出てるでしょう?。 「裏表紙」のカットから、本物は白黒なのですが、単色の彩色も良いですね。 この挿絵に惚れこんで「岩田専太郎さしえ画集」毎日新聞社・刊 20,000円也という画集も購入してしまいました。 当時(1976年)の20,000円ですから覚悟がいりました。 (現在でも20,000円の画集は高いと思いますが・・・) 確か誕生日のお祝いを兼ねて、家計費から出してもらったと記憶しています(笑) ここでご披露したいのですが、大体の場所は判っているのですが本棚の奥の奥にしまい込んでおります。 たどり着くのが一苦労なのです(笑) いずれ発掘してご披露したいと思います。 紋次郎・第一期シリーズ完結の最終2冊です。 最終巻は画家が「野口昻明」氏になっています。 昭和四十八年六月の奥付です。 この後、「新・木枯し紋次郎」シリーズや単発で復活していて、読了はしているのですが本は手元にありません。 ちなみに、この後「小林秀美」「宇野亜喜良」「堂 昌一」が挿絵を担当しています。 この時期は笹沢氏は紋次郎に平行して「無宿人御子神の丈吉」(原田芳雄・主演で映画化)とか、沢山の「股旅もの」を書いてます。 氏の作品は時代物・現代物を含めほとんど読みました。 氏の全作品は380冊を数えるそうです。 ちなみに、紋次郎は113作です。 2002年71歳で逝去されました。 木枯し紋次郎・最終シリーズ「帰ってきた紋次郎」です。 「帰って来た 木枯し紋次郎」 笹沢左保 平成九年 新潮文庫・刊 438円+税 前作の第一期シリーズから二年後の昭和五十年に「第二期シリーズ」復活。 新聞連載の長編シリーズを経て、六十三年「新・木枯し紋次郎」を刊行、それから七年、「第四期シリーズ」として復活したシリーズが、「帰って来た紋次郎」です。 一作目では三十歳の紋次郎もこのシリーズでは三十八歳、若い頃のような体力も瞬発力もなくなりました。 しかし、その分、人生経験が豊富になり、人間洞察力にますます磨きが掛かり、関わりあう謎解きに能力を発揮します。 「帰って来た紋次郎 最後の峠越え」 笹沢左保 平成十三年 新潮文庫・刊 476円+税 シリーズ完全最終作。 昭和四十六年(1971年)のシリーズ一作目「赦免花は散った」から平成十三年(1999年)に及ぶ人気シリーズもいよいよ最終巻です。 シリーズ中、何回も紋次郎の「死」を予感させる場面がありましたが、その都度、復活してきた「紋次郎」今回も利根川の土手を東に消えています。 峠越えでないのが残念ですが、著者の笹沢氏は今回で終わりではなく、体調の不調のための「休止」と考えていたみたいです。 その後、体調悪化のため2002年亡くなってしまったため、惜しくも最終巻となってしまいました。 「読んで悔いなし! 平成時代小説」 縄田一男・編 2005年 タツミムック 辰巳出版・刊 1,200円+税 平成生まれの時代小説の魅力を文庫・書き下ろし作品を中心に紹介したムックです。 宮部みゆき、山本一力、佐伯泰英などのインタビューや捕物・チャンバラ・人情など、テーマ別にセレクションした傑作・名作を100作品紹介。 挿絵や装画の魅力にも迫り、これ一冊で平成時代劇の世界がまる判りのお宝本です。 以上、時代小説というよりは「紋次郎の思い出」に終始したものになってしまいました(笑) 次回は、もう少し幅広くご紹介したいと思います。 隣で、散歩に連れてってという表情の「この娘」のアップでお別れです。 いつもありがとうございます。 では、又♪
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コメント
「時代小説」ぶんぶんさんの興味がよくわかりました。
誰にも読書の好きな分野がありますよね。
なにかのきっかけで本が好きになること。
ぶんぶんさんは「木枯らし紋次郎」なのですね。
このブログでたくさん出てきます。
私が興味を持ったのはもちろん「ウエザ・リポート」9月のに文庫本になったら是非買いたいです。
「切腹」の映画も観てみたいです。
DVDが出ているのかな。
投稿: しいか | 2010年8月17日 (火) 01時23分
しいかさん、こんばんは♪
はい、「時代小説」に嵌ったのは「紋次郎」
ですが、読書の「目覚め」は小学生の頃です。
「少年探偵団」や「怪盗ルパン」「ホームズ」
に夢中でした(笑)
時代小説の世界(まだ、現代的要素が多分に
含まれてはいましたが)を垣間見たのが、
「紋次郎」だった訳です。
今では、「謎解き」より「情緒」の方が心落ち着きます。
「切腹」「上意射ちー拝領妻始末」共にDVDになってます。
レンタル店で見つけて下さい。
いつもありがとうございます。
では、又♪
投稿: ぶんぶん | 2010年8月17日 (火) 22時34分
お久しぶりです^^v
明日外来なので ・・ 帰ってきました
神経内科 外科 皮膚科 と 一日がかりです
夕方 父のお墓参りへも行ってこようと思っています
時代小説ヮ大好きです ・・ が -ナカナカ最後までたどり着けづに ・・
難しくなると 後ろのページから・・ 読んじゃったりする イイカゲンなヤツです^^v
徳川家康 あれだけヮ 通勤の時間を使ってシッカリ読むことができました
・・名前が覚えられなくて ・・ 「登場人物」ランヮ ヨレヨレになってしまいます^^v
投稿: 台所のキフジン | 2010年8月18日 (水) 17時03分
キフジンさま、こんばんは♪
ご無沙汰でした、一時帰休ですね。
お忙しいのに、わざわざのお運び有難うご
ざいます。
いかがですか、暑い毎日に体力は落ちてい
ませんか。
紋次郎、久しぶりに出してみました。
ハードカバーなのに、お値段が500円台
と現在の文庫より安いです。
39年前ですものね、私が20歳の頃です。
よく捨てずにあったものです。
多分、岩田専太郎画伯の画は手元に置いて
おきたかったのでしょうね。
いつもありがとうございます。
残りのリハビリもガンバッテ!
では、又♪
投稿: ぶんぶん | 2010年8月19日 (木) 00時46分
ぶんぶんさん、初めまして。検索からお邪魔しました。
「木枯し紋次郎の風景」という稚拙なブログを公開している「おみつ」と申します。このHNを使うのは他の紋次郎ファンに申し訳ない気分ですが、紋次郎が永遠に追い求めている姉は「お光」で、全くの別人の一女性ファンとして使わせて頂いています。宜しくお願いします。
木枯し紋次郎シリーズの沢山の装画を見せて頂いて感謝します。当時の物と思いますが綺麗な状態で残されていて、ぶんぶんさんの思い入れが強く感じられました。
1972年当時私は14歳で、とんでもない田舎に住んでいて時代小説の本など買うことは出来ませんでした。大人の小説だったので他人目も憚られた気がします。
投稿: おみつ | 2010年8月21日 (土) 23時03分
初めまして。
おみつさんよりご紹介いただき、お邪魔させていただきます。
私もぶんぶんさんと同じく、時代小説の初めは紋次郎でした。
きっかけは1972年放映の「木枯し紋次郎」に心を奪われたんですが……。
当時13歳。
本屋に行くのも一苦労で、注文するのもちょっと変な目で見られていました。他、笹沢さんの時代物にもはまりました。(特に渡世人モノ、浪人モノ)
かなりの冊数を購入したのですが、紛失してしまい、馬鹿なことをしたと後悔しきりです。
ぶんぶんさんの写真を見て、懐かしく思いました。
ありがとうございました。
紹介いただいた岩田専太郎さんの画集も、購入したいなと思っています。
貴重な情報をいただいて、うれしいです。
投稿: お夕 | 2010年8月22日 (日) 10時09分
おみつ様、こんばんは♪
初めまして、ぶんぶんです。
ご来訪、ありがとうございます。
「お光さん」は、間引きされそうになった紋次郎を
祭礼前日に奪って逃げて、祭礼当日に生まれたと
村人に披露して「功徳日の赤子」として救った、
機転きく十二歳年上の長女ですよね。
「木枯し紋次郎」との出会いは、40年くらい前にも
なるのですね。
しかし、今でも画期的な作品かと思います。
推理小説の笹沢左保が「股旅もの」を書く、ただの
時代小説になるわけはありません。
ミステリーと旅情の複合、そしてチャンバラ、孤独
な旅鴉・・・
時代にマッチした世界観だったのしょう。
折しも、JRのキャンペーン「ディスカバー・ジャ
パン」と相まって、日本の元風景への回帰だった
のかとも思います。
語り出したら、きりがないですね(笑)
この度は、わざわざのお運び、ありがとうございます。
ご返事が遅くなり申し訳ございませんでした。
これを機会に、又お立ち寄りいただけたら幸いです。
では、又♪
投稿: ぶんぶん | 2010年8月23日 (月) 23時19分
お夕さん、こんばんは♪
ご来訪、ありがとうございます。
はい、第一期の単行本と「帰って来た〜」の文庫本
のみ手元に残っています。
他にも、「無宿人・御子神の丈吉」とか「追放者・
九鬼真十郎」「半身のお紺」とかも単行本で読んだ
のですが、原本は散逸してしまいました。
「お夕さん」三宅島へ流される紋次郎を追って小舟から入水自殺したとされた女性ですよね。
また、島で紋次郎が何かと世話をやく「女流人」の名前が「お夕さん」でしたね。
エピローグが少し悲しいのですが。
「岩田専太郎さし絵画集」は、絶版みたいです。
古書店をお探し下さい。
私の蔵書も探したのですが、見つかりません。
もう少し探してみます。
「おみつさま」同様、又のお立ち寄りをお待ちしております。
この度は、ありがとうございます。
では、又♪
投稿: ぶんぶん | 2010年8月24日 (火) 00時06分