読書の楽しみ(装丁編)♪
本を選ぶ時、皆さんはどの様に決めていますか。 ストーリー? 作者? ジャンル? 基準になるものはそれぞれかと思います。 新聞その他の「書評」「広告」もそのひとつです。 でも、本屋さんの店頭で「一目ぼれ」してしまう事もあるのです。 今宵はそんな装丁の魅力をお伝えしたいと思います。
シリーズ「季節風」 (春・夏・秋・冬)
重松 清 文藝春秋・発行
産経新聞大阪本社夕刊に毎週土曜日連載された「季節風」2006年10月より2007年9月までの掲載分より、季節のエピソードの短編を、それぞれ春夏秋冬に分けて単行本化したシリーズです。
作者は勿論、お話しもグッとくるものなのですが、シリーズとはいえ、季節ごとに出したカバー装丁の統一感の見事さに息を飲みました。 先ずはしっとりと落ち着いたレイアウト。 季節を表す色使い、青春・朱夏・白秋・玄冬(黒)の使い方。 各巻の栞と「はなぎれ」(背の部分に使われる上下に配した布のこと)の色とも統一。 ちょっと手元に置いておきたいシリーズです。
先ずは、表紙 タイトルの「ツバメ記念日」にちなんでツバメの版画風、続いて薄紙のカバー紺に近い青でタイトル著者名などをコンパクトに表記。 最後に同色の「帯」を掛けて内容の紹介を。 バランスの取れたレイアウト、素敵ではないですか? 夏の巻 「僕達のミシシッピ・リバー」に合わせて水の文様を配しています。 秋の巻 「少しだけ欠けた月」で、その月を。 冬の巻 「サンタ・エクスブレス」で雪の結晶です。 各巻季節にちなんだ12編の短編を収録しています。 どうぞ、たっぷりと「重松節」をご堪能下さい。 「和菓子のアン」 坂木 司 光文社・発行 タイトルは「赤毛のアン」とお饅頭の餡をもじったものと思われます。 勿論、主人公の「梅本杏子」のアンコちゃんの愛称も交じっています。 表紙はピンクの紙に細かい白のちりめん模様、そこにお饅頭がひとつ。 カバーは沢山のお饅頭、写真では見辛いですが一面に「金粉」が舞って和の世界です。 「帯」が付いて内容の煽り文句が。 2002年のデビューと著者紹介にありますが、私は初めての作家です。 いかに装丁が本への導入部かと改めて思いました。 高校は出たものの進路が定まらない「杏子」ちゃん、一念発起で「デパ地下」の和菓子屋さんで働き出した。 個性的な同僚やお客さんの言動に振り回されつつも、忙しくも心温まる毎日。 ちょっぴり謎解きも入ったお話しです、お茶を片手にお楽しみ下さい。 せっかくですから、二つ並んだ「裏表紙」もご覧下さい。 「青森ドロップキッカーズ」 森沢 明夫 小学館・発行 「チーム青森」の活躍でメジャーなスポーツとして認知された「カーリング」 そんなカーリングの世界を、いじめられっ子の中学生、中途半端な不良、トップを目指すアスリート姉妹で編成するチームの青春小説。 表紙は味気ないタイトル活字だけなので、カバーと帯付きです。 カーリングと四人を表すクローバー、チーム四人のキャラクターが描かれたカバーで内容は想像がつきます。 おまけに「あさのあつこ」氏の推薦文と来ては、手に取るでしょう。 爽やかな汗と涙を感じて下さい。 今回は、衝動的購入本、いわゆる「ジャケ買い」=ジャケット買い=装画に惚れて、中身を見ずに購入するの意。 の魅力をお伝えしました。 こんな楽しみは、「電子書籍」では出来ませんよね。 つくづく「本」はパッケージだと思います。 誰よりも早く、読みたい時が欲しい時、直ぐに読まなかったら後れちゃう、そんな読み方しなくてもいいんです。 読みたい本をゆっくりと時間をかけて楽しんで、映画よりスケールが大きくて、何回でも楽しめて、しかも木戸銭よりも安いと来れば、言うこともありませんよね。 次回も「読書の楽しみ」、お付き合い下さい。 いつもありがとうございます。 では、又♪
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コメント
私は、いつも気にせず本に接していますがジャケット装丁のよさにひかれることがありますね。
ぶんぶんさんのUPした本が魅力的にみえます。
我々もちょっとした置き方やPOPなど工夫が必要ですね。
ぶんぶんさんからいろんなことを教えていただきました。
業界では、本が消えるのでは?とか価格が高くなるのでは?
書店がつぶれるとか・・・・。
電子書籍の増大で戦々恐々しています。
紙ものの本には、装丁作家さんやしおり1本にしてもいろんな職人?さんがかかわって作られているのですもの。
なんだかうれしくなってしまいました。
本が愛おしくなりました。
ありがとうございます。
暑いですから体調お気をつけて。
投稿: 本屋のオバさん | 2010年7月24日 (土) 20時00分
オバさん、こんばんは♪
釈迦に説法、暖簾に腕押し、日々、本に接して居ら
れる、オバさんに何も言うことはありません。
本=「ペーパーもの」を愛し、生業(なりわい)に
しておられる方です。
愛着のあるのは当然です、いくら御託を並べても、
圧倒的に「量」が違います。
そんな中での「選球眼」、たまに手を出す(球に手
を出す(笑)、半可通とは一線を画しています。
有難うございます。
お褒めの言葉と受け取っておきます。
必要度、利便性、駿足度、それが「本」の明日を決
めるのでしょうか。
確かに「絶版」は無くなると思いますが、無くなる
からこそ「大切」にしたい、愛しく感じるのが「本」
なのでは、ないのでしょうか。
作品に込められた「思い」が、著者、編集者、装画
家、装丁家、デザイナー、写植師、印刷会社、出版
社、宣伝課、刊行課、販売部、取次(問屋)、取次
営業、書店、書店員、本棚、読者 という「流れ」
で書店店頭に並びます。
それぞれの「思い」を感じると、あだや疎かに出来
ない「重い」ですね。
「愛蔵版」という言葉も「本」に対する称号でしょ
うね。
「電子書籍」の「愛蔵版」なんて、想像も出来ません。
便利さを文化的と勘違いしている「時代」なんです
よね。
「座右の銘」なんて言葉も有名無実になるのかも・・・
いつもありがとうございます。
では、又♪
投稿: ぶんぶん | 2010年7月24日 (土) 22時13分
ぶんぶんさんこんばんは。
装丁って大事ですね。電子書籍ではどうなっているのでしょう?私は電子書籍に手を出せるほど詳しくないので分かりませんが、表紙とかの装丁はあるのでしょうか?
題名の文字だけでいきなり本文てのは味気ないですよね。
最近ラジオ番組などでもちょくちょく取り上げられていますが、そういう点に触れたコメントは聞いたことがありません。
本って読みたいなと思ったときに本棚から引き出す数十秒で手に取れる所のよさもあると思います。また、気になったのはこのあたりっていきなり半分ぐらいのところを開けてみたり、ほぼ終わりの辺を見たりできるよさもあると思います。
やはり、自分の気に入った本をリビングや書斎に並べて、見て楽しむというのもあると思いますが、若い人たちはそういうことは考えないのでしょうかね?
投稿: しのさん | 2010年7月25日 (日) 22時28分
しのさん、こんばんは♪
「電子書籍」の、表現方法はペーパーものと同じよ
うに表現が出来ると思います。
でも、「肌触り」とか「重量感」とか「すかし模様」
なんかは、無理でしょう。
一長一短は、それぞれあると思います。
あとは、その人の「作品」に惚れ込む尺度でしょ
うね。
ただ、「作品世界」の表現は「紙ベース」の方が多彩
だろうと思います。
テレビでドラマを見るのと似ているような気がします。
観させてもらっている、という感覚です。
確かに、「蔵書」の量は増えるでしょう。
でも、取捨選択はいずれ起こります。
誤解を恐れず言えば、「図書館派読者」は電子書籍
歓迎かも知れませんね。
作品に対する「愛着度」が希薄かと思いますので。
やっぱ、好きなものは「身銭」を切って楽しまないと
と思います。
部屋が狭くても「10年」「20年」手元に置いて
おきたい「大事な物」は有るのです。
「本好き」って、情報量だけでは判断出来ない
「種別」かと思います。
いつもありがとうございます。
では、又♪
投稿: ぶんぶん | 2010年7月26日 (月) 21時47分