たまには、「花」をハナれて「本」のお話など、ホンの少しでもしましょうか♪
「蛍子」-HOTARUKO-
久世光彦・作/上村一夫・画 ブッキング・発行
副題に「昭和抒情歌50選」とあります。 鬼才・久世と絵師・上村が、昭和のヒット曲に乗せて送る情念の世界。 蛍子と幼女カオリが醸し出す社会の裏側、男と女、老人と若人、狂人と聖人、その境とは・・・ 妖しい世界に招かれいつしか住人になってしまう夢の世界。 ちなみに歌は「白い一日」「思い出ぼろぼろ」「異邦人」「はーばーらいと」他50曲。 1996年初出のものを2005年に復刻。 いずれにしても時の流れを感じさせる劇画です。
「欅の木」 内海隆一郎・作/谷口ジロー・画 小学館・発行
内海隆一郎の原作「人びとシリーズ」200編の中から谷口ジローが選んだ8編を劇画化。 一話一話に人生や人との交わり、人の切なさや温かさが感じられる作品です。初出が1993年と古いが、今年待望の復刻をした谷口作品の中でも「犬を飼う」「歩くひと」と並ぶ傑作です。
「父の暦」 谷口ジロー 小学館・発行
故郷を棄てて都会暮らしの長男に“父死す”の知らせが届く・・・父へのわだかまりが解けぬまま10数年ぶりに故郷に帰る。 通夜の話の中から浮かぶ自分の知らない、意外な生前の父の姿。 郷愁と父親の愛の深さを描く感動作。
「歩くひと」 谷口ジロー 講談社・発行
散歩の途中で出会う、ちょっとした出来事や自然、日常の中の発見や楽しさ、「散歩のすすめ」的な好作品。 一話が8ページという「散歩物」に相応しい軽さも魅力です。
「孤独のグルメ」 久住昌之・作/谷口ジロー・画 扶桑社・発行
輸入雑貨の個人貿易商の主人公が出会う「食」の数々。 モデルになった店は実在のお店。 初出が1997年とこれまた古いが、近年のB級グルメの影響か2年くらい前に出版社を代えて復刻した。 銀座のハヤシライスとか赤羽の鰻丼、秋葉原のカツサンドとか浅草の豆かん、ご存知の方は「うんうん」と思わず納得の逸品です。
「散歩もの」 久住昌之・作/谷口ジロー・画 フリースタイル・発行
魅惑のコンビが再びタッグを組んだ、「歩くひと」と「孤独のグルメ」を合体させたような実在の町を歩く気分にさせてくれる作品。 「品川の雪駄」「古絵本(井の頭)」「ハーモニカ横丁(吉祥寺)」「目白のかき餅」など郷愁を誘う界隈を歩く。 「通販生活」に連載という変り種。 初出はやや新しく2006年。
最後は活字本で、といっても軽いものですが(笑)
「月の砂漠をさばさばと」 北村 薫 挿し画・おーなり由子 新潮社・発行
作家のお母さんと9歳のさきちゃんの、ほのぼのとした毎日を描くまるで絵本のようなお話。 親子と言うよりは「友達」みたいな関係のふたり。 さきちゃんの疑問に答えるおかあさんが、作家という言葉の表現者であることが作品に奥行きとゆとりを感じさせてくれます。 おーなり氏の「ほわ~ん」としたカラーさし絵も作品世界に溶け込んで味わい深いものになっています。 初出は1999年ですが、挿絵も入った「文庫」にもなっていますので入手しやすいかと思います。
「ゲゲゲの娘 レレレの娘 らららの娘」
水木悦子/ 赤塚りえ子/手塚るみ子 文藝春秋・発行
ご存知、「神様・手塚治虫」「天才・赤塚不二夫」「妖怪・水木しげる」コミック界・三大巨匠の「娘さんたち」の座談会です。 巨匠と言えども「人の親」、娘から見た父親像、あんな一面がこんなエピソードも・・・ 身内だからこそ話せる秘密の数々。 「娘が選ぶ父の傑作短編」も併せて掲載。 初出は今年の2月です。
以上、「晴行雨読」でした。 次回は活字本を多くしたいと思います。
いつもありがとうございます。
では、又♪
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