10月の読書記録 読書メーターより
10月の読書メーター
読んだ本の数:26
読んだページ数:8703
ナイス数:2963
平凡な革命家の死 警部補卯月枝衣子の思惑 (祥伝社文庫)の感想
【図書館】「変わり朝顔」「初めての梅」をかなり前に読んでいて、初めての現代劇を読んでみた。 あとがきで「でっち上げ」の事件を目論む女刑事という設定が面白く、読んでみる気になった。 結果は・・・面白かった。 語り口が読み易くグングン惹きこまれる。 二転、三転するストーリーが益々深みに引き寄せる。 事件が解決して、果たして本当の犯人はと、考えさせられる。 樋口祐介、どこまで物語に引きずり込むのか、面白い。 次作の「礼儀正しい空き巣の死」もリクエストしてしまった。
読了日:10月01日 著者:樋口有介
新装版 剣客群像 (文春文庫)の感想
【図書館】本を返却しに行って、それだけだとつまらないので借りて来た。 何気なく借りたが、流石は「池波正太郎」短編ながら、各編読み応えがある。 佐々木留伊の話が面白い、剣を取っては無双なのに「おなら」で負けてしまう。 この時代ならではの事で、ちなみにこの人物は実在するとの事。 後に、佐々木三冬が「剣客商売」に登場する。 後「ごろんぼ佐之助」が爽やかで良い。 この人物も実在で新選組の副長助勤である。 死ぬまで「御落胤」と信じていたとあるが、そこも微笑ましい。 「忍者群像」「仇討群像」も借りて来よう。
読了日:10月03日 著者:池波 正太郎
彼女はたぶん魔法を使うの感想
【図書館】樋口祐介の本が読みたくてPCで探して見た。 「柚木草平シリーズ」が面白そうで、第一作目を借りて来た。(リクエストした) スマホも無い時代の探偵物、ハードボイルド風でもある。 元刑事、人を殺して刑事を辞め、ルポライターをしながら探偵も。 捜査方法が足で稼ぐタイプ、少々、煙草を吸い過ぎるきらいがある。 酒とつまみのシーンが多い(この作者の傾向だと思う) この筆致は嫌いでは無いので、2作目もリクエストしよう。 13作まで出ているそうだから、だいぶ楽しめそうである。
読了日:10月04日 著者:樋口 有介
新装版 剣法一羽流 (講談社文庫)の感想
【図書館】時代小説の短編集だと思って借りて来た。 頁を読み進めて行くと「現代作」が出て来た。 これは面白いと読み始めたが・・・やはり「合わない」この作家は時代小説家だと思う。 七編のうち一篇は読了済み、しかし、小杉十五郎の別の顔を観られて楽しかった。 もともと、短編用に書かれた別物かも知れないが、そう言えばあっさり殺される。 現代劇3篇を外して編み直すのもアリかも知れない。 しかし、意外な形で池波の現代劇に遭遇するのも良かった事でもある。 しかし、表紙裏に現代劇ありと書かなかったのは出版社の策略か・・・
読了日:10月05日 著者:池波 正太郎
新酒番船 (光文社文庫)の感想
【図書館】佐伯泰英の新刊。 あまり期待しないで手に取った。 佐伯の時代小説は、屁理屈が多くて最近は読んで無い。 「密命」とか「居眠り磐音」とか初期の荒々しさが良くてほとんど読んでいたが、「決定版」と称して新版を他社で出し始めた頃より、だんだん疎遠になった。 読み切りという事で読んでみた。 新酒を江戸に運び込む船乗りの話。なかなか面白いと思うが、海の大らかさが感じられない。船の構造とか航海術がしつこくて、船酔いしそうな感じ。もう、佐伯は豪快剣戟は期待出来ないのか、池波正太郎などは晩年でも書いていたのにな。
読了日:10月05日 著者:佐伯 泰英
初詣で 照降町四季(一) (文春文庫 さ 63-201 照降町四季 1)の感想
【図書館】佐伯泰英氏の新作、全4巻で完結という事で借りて来た。 前作が船乗りもの一巻で、掘り下げていなかった感があったので、どうかなあと読んでみる。 滑り出しは上々、果たして四巻に収まるかが問題。 今はやりの女職人ものに手を出したかと思う。 縫箔師の話もあり、佐伯氏としては馴れもある事と思う。 後は武士の周五郎の扱い次第、磐音の出だしと似ている様な感じがする。 面白そう、まだ一巻なので判らないが、出だしは良好である。 願わくば、決定版等、引っ張らないで欲しい。 どう転んでも出版されたら終わりなのだから。
読了日:10月07日 著者:佐伯 泰英
礼儀正しい空き巣の死の感想
【図書館】「平凡な革命家の食卓」に続く第2弾! 例によって「超能力」卯月枝衣子の名推理とジャーナリストとちんけな芸術学院の講師とのやり取りで事件が解決してしまうコメディアス推理小説。 独自の雰囲気が好きだ、やや、ご都合主義な点も多いが面白い。 しかし、強姦事件と主婦売春、30年前の少女殺人事件と目まぐるしく変わる要素に追いついていくのが大変。 しかも、本庁捜査1課に異動の話もぶり返し、ストーリーはめちゃくちゃ。 こうゆう、ゆるい殺人事件(実際は所轄だから殺人は無い)も面白いと思う。柚木草平とダブるのも良。
読了日:10月08日 著者:樋口有介
初恋よ、さよならのキスをしようの感想
【図書館】シリーズ、第2弾。 徐々に草平の過去が明らかになる。 今回は高校の同級生が事件に巻き込まれる話。 過去の懐かしい想い出や現在の姿に、思わぬギャップを感じて、草平が悩む姿が愛らしい。 表紙画、犯人のネタ晴らしをしてる様で興ざめ。 といっても、何故、この女なのか判らないから良いか・・・ハードボイルドに決めていても、どこか隙がある、そこが憎めないですよね。 シリーズ毎に追いかけたいけど、途中欠番がある、図書館だから仕方がない。 連作だから支障はないと思うが、ちょっと残念。 初期の頃は古いしな。
読了日:10月09日 著者:樋口 有介
横浜ではまだキスをしない (ハルキ文庫)の感想
【図書館】柚木草平シリーズの合間に読了。 表紙を見るとヤングミステリーらしい。 表紙の女の子が可愛い、しかし、樋口有介のミステリーかとしみじみ思う。 軽妙な語り口、コンビになる小学校の同級生・メイの登場、腹違いの姉の出現、樋口ミステリ―だ。 しかし、こんなに複雑になるかな・・・古本屋のお姉ちゃんも不思議な人物。 メイもとんでもない家族ととんでもない性格と学力、全部詰め込んだ有り得ないミステリー。 でも、一陣の風が吹くように起こる高校生の夏休みの冒険談。 事件は暗いがサラッと読めるライトミステリー。
読了日:10月10日 著者:樋口有介
誰もわたしを愛さない (講談社文庫)の感想
【図書館】柚木草平シリーズ、純情な女子高校生がラブホテルで死んだ。 通りすがりの犯行にしては、いろいろ問題がある。 雑誌社の依頼によって柚木は動くが・・・二転三転する状況、たどり着いた容疑者には鉄壁のアリバイが。 草平のどうしても判らない高校生の実態とは。 最後の決着はモヤモヤが残る。 また新しい登場人物の新米編集者の小高直海のキャラが凄い、完全に草平を喰ってしまっている。 編集者だからまた出て来るよね。
読了日:10月12日 著者:樋口 有介
蠱惑の本 (異形コレクションL)の感想
【図書館】新刊コーナーにあった、本に関する本との事で借りて来た。 異形の本という事で楽しみでもあった、しかし、ちょっと傾向が違っていた。 怪奇スリラーっぽくも摩訶不思議なお話も。 肌に合わなくて、「大崎梢」と「坂木司」「三上延」だけ読んで終わりにした。 どうも相性と言う物がある様だ、奇想天外は性に合わない。 冒険とファンタジーが好きな人には、堪らない本だと思う。 全編、描き下ろしもファンにとって素晴らしいものでは・・・でも、私は挫折。
読了日:10月12日 著者:井上雅彦・監修,平山 夢明,真藤 順丈,三上 延,坂木 司,澤村 伊智,木犀 あこ,井上 雅彦,大崎 梢,斜線堂 有紀,柴田 勝家,朝松 健,宇佐美 まこと,倉阪 鬼一郎,北原 尚彦,間瀬 純子
刺青(タトゥー)白書の感想
【図書館】まず始めに「和田誠」のカバー絵に惹かれました。 ほのぼのして、的確に小説の中心人物を表している。 今回は、草平も馴染みのある「講文社」編集長の三浦年男の娘・三浦鈴女が主人公。 鈴女の同級生が立て続けに殺された。ひとりはアイドル、ひとりはテレビ局のアナウンサー内定者、これは偶然なのか・・・あれよあれよという間に同級生が次々と巻き込まれる。しかも、最初の二人には左肩に薔薇の刺青が。草平シリーズは同級生絡みが多いなと思う。しかも、普段と違う性格を炙り出すのが上手い。 最後にほろ苦くさせるのも好きだな。
読了日:10月14日 著者:樋口 有介
昭和レコード超画文報1000枚 ~ジャケット愛でて濃いネタ読んで~の感想
【図書館】面白い! 手持ちのレコード5000枚から、1000枚を厳選。 それだけでも凄い。 この手の本は買う気にならないのですが、図書館で借りて来るぶんには雑学として面白いのでは。 60年代から80年代までのヒット歌謡がジャケット写真と小さなコラムで甦る。 ヒット曲からコミック・ソングまで網羅した素敵なコレクションだと思う。 しばし、当時の想い出のあれこれや謂れ話など著者のキャスターとしての感性も試される。 この中に貴方の好きな曲は必ずある!
読了日:10月15日 著者:チャッピー加藤
夢の終わりとそのつづき (創元推理文庫)の感想
【図書館】柚木草平シリーズとして予約したが習作の改稿版。 これは、シリーズに入れるべきか・・・疑問。 雰囲気を狂わしている、夢子のせいで事務所が改変、後に続くストーリーが無いから自由すぎる。 「ろくでなし」として、単独で成立するものだと思う。 「ろくでなし」もアイデアに困って出したというが、今回も困って全面改稿したのではないのか。 性格は似てても行動が全然違う、ハードボイルド感が、全くの他人。 「あとがき」を読んで、どうしようかなと思ったが、つくづく、読まなきゃ良かったと思う。
読了日:10月17日 著者:樋口 有介
不良少女 (創元推理文庫)の感想
【図書館】柚木草平シリーズの短編集。 全体的にあっさりとしているが、ちょいと捻ったところが良い。 相変わらずの女好きだが、一本心情を持っているのが良い。 短編集だけに、深入りしていないのも良い。 今回はアルバイトに専念しているが、それだけで終わらないのが草平の面目躍如、ほろが無しい結末が待っている。 「杉江松恋」の描く、女性遍歴がまとめてあるのが一興を誘う。 これで柚木草平シリーズの初期シリーズが終わり、6年後に書かれた「捨て猫という名の猫」を待つ事になる。 草平シリーズの文体が良いよなあ・・・
読了日:10月18日 著者:樋口 有介
新 謎解きはディナーのあとでの感想
【図書館】新作という事で借りて来た。 10年前に読んでいたシリーズ、懐かしい! 今作は新米刑事の若宮愛里刑事がドタバタを引き起こす。 まあ、推理は執事の影山がして、風祭警部がトンチンカンな推理で書き回し、愛里がキッチリ風祭と対峙し、主人公の麗子が事の顛末を景山に相談する、というパターン。 相変わらずユーモア・ミステリーの面目躍如、素晴らしく面白い。 懐かしく読んだが、これからも東川氏には肩の凝らない作品をお願いしたい。
読了日:10月20日 著者:東川 篤哉
魂手形 三島屋変調百物語七之続の感想
【図書館】妖かし草子も七巻目、相変わらずの江戸情緒にまったりとしております。 摩訶不思議な話と聞き役の心得など、入り混じり江戸の夕暮れが近づいています。 美味いですね~微妙なところは、ぼやかしていて緊迫するところは怖がらせる。 現実の富次郎がふっと気になる処が真に迫りますね、お勝とおしまの物語に入れ方も見事。 怪奇聞き物語としても、現実の物語としても、さもありなんと感心する。 宮部みゆき嬢はどう決着をつけるのか楽しみです。 百話にはまだまだ遠い。 ガンバって下さい。
読了日:10月21日 著者:宮部 みゆき
怪しい人びと 新装版 (光文社文庫)の感想
【図書館】読む物が無くて借りて来た。 携帯もネットも無い1994年の作品、何か書き方が若い感じがする。 今と違って「熱血」が感じられる。 しかし、所々に東野イズムが出ていてすんなり読める。 いろいろ怪しげな人たちが出て来る短編集。 「コスタリカの雨は冷たい」が外国を舞台にして外国小説の様な雰囲気で読ませる。 これならばアンラッキーな結末にならないなと思ったらハッピーエンドでした。 こういう、古い作品もたまにはいいなと思いました。
読了日:10月22日 著者:東野 圭吾
黒いハンカチ (創元推理文庫)の感想
【再々読】とある昼下がり、頁を開く打ってつけ本。 そんなに有名ではないが他のジャンルでは第一人者。 「小沼丹」の飄々たる筆致を感じつつ、先生・ニシ・アズマ嬢の推理を聞こう。 昭和三十三年というから、相当古いだが、回顧的ではあるが古びている訳では無い。 昔懐かしい場面を想像して、良き時代に遊びたいものだ。 北村薫、天藤真、がお好きな方にお勧め。 季節とと共に十二遍、「新婦人」に連載された短編集、是非、ご賞味下さい。
読了日:10月23日 著者:小沼 丹
室の梅 おろく医者覚え帖 (講談社文庫)の感想
【図書館】宇江佐真理の本はもう読んだと思い「再読」覚悟で借りて来た。でも、読メで確認したら初読でした。 気を取り直して読んでみると全く記憶にない話でした。「おろく医者」死人しか鑑定しない医者・正哲と若き産婆のお京と繰り広げる悲喜交々の人生哀歌。別な見方をすれば、捕物帖にも見える。謎解きを女房のお京がする場面もある。あとがきでも書いている通り、世の中には偉い人がいる。たいして賃金を貰わず華岡青洲に師事する、それを社会に還元する尊い正哲を取り上げるのは宇江佐の意気込みだと思う。いろいろな光を当てて欲しかった。
読了日:10月24日 著者:宇江佐 真理
捨て猫という名前の猫 (創元推理文庫)の感想
【図書館】柚木草平シリーズ、第9弾! 私が読んだのは7弾まで。 2巻は欠本。 中学生の投身自殺を調べるはめになった草平は、徐々に疑問点が見つかる。 出て来る美女は、何故か悪女。 そんな女にもみしだかれて酒と女の果てに、浮かび上がったものとは・・・ますます、快調の草平節、やり込められても男の矜持、どんと、持たなければ。 やけに「煙草」のシーンがあるので、その都度吸いたくなってしまう(笑) 今回もシンドイ場面がある、捨て猫・麦の心情が哀しい。 さあ「片思いレシピ」に移ろうか。
読了日:10月26日 著者:樋口 有介
片思いレシピ (創元推理文庫)の感想
【図書館】柚木草平シリーズ・番外編 草平の娘・加奈子が殺人事件に巻き込まれる。 塾の先生が殺されてしまった、加奈子も一応関係者、なんだかんだと調査に乗り出す。 そこは、子供の事、実際は大人に任せて周辺を固める。 案の定、草平に電話を掛けるがケンモホロロの応対。 なんやかんや、見事に草平が解決するが、登場は電話のみ。 小学生の冒険と淡い恋心を描く爽やかなミステリー。 妻沼家のキャラクターが凄い! これも良いが、柚木草平の本編に戻ろう。 次回も期待する。
読了日:10月27日 著者:樋口 有介
オムニバスの感想
【図書館】姫川玲子が帰って来た。 姫川班のメンバーがいろいろな姫川を描き出す。 短編集だからテンポが良い、その時その時のバディが各自の印象を語っている。 しかし、姫川のモノローグに考えさせられる事が多い。 刑事と悪人という図式だけでは警察小説は書けなくなって来たという現状ですかね。 しかし、姫川班に「あの人」がくるとは、いよいよ誉田さん、手詰まりなのか・・・新しい「化学変化」も観て見たい気持ちもあるし。 とにかく、新生「姫川班」早く見てみたいものだ。
読了日:10月29日 著者:誉田 哲也
猿の悲しみ (中公文庫)の感想
【図書館】樋口有介の女性探偵物、バツイチ、子持ち、前持ちの弁護士事務員。 ムエタイとピッキングの達人、女性ハードボイルドが面白そうで読んでみた。 前半は登場人物の紹介などサクサク進んで行く。 後半、金の力で事件がうやむやに、この辺からハードボイルドさが、徐々に覚めて来る。 人物も段々複雑になりこんがらかってきた。 案の定、綺麗に終わらなかった。 次巻を見据えての展開なら、一巻本としては失敗かな。 キャラは良いので当てはめるストーリーが大事だと思う。 第2弾に期待する。
読了日:10月30日 著者:樋口 有介
あきない世傳 金と銀(十) 合流篇 (ハルキ文庫 た 19-25 時代小説文庫)の感想
【図書館】やっと読む事が出来ました、シリーズ・第十巻目です。 いろいろと浴衣の柄や染め方に苦労する姿を描く。 一方、大阪からお梅と菊栄と鉄助が江戸にやっと着いた。 今回は菊栄の采配が大きく作用する快進撃編。 あっと驚く新図案の浴衣柄を、そして浴衣そのものの利用価値まで変えてしまう幸の手腕に惚れ惚れする。 商売の行方は安泰だが、このままライバル店が指を咥えているとは思えない。 そろそろ、ひと波乱の時期ではないだろうか、そういった幸の人生かと思う。 高田女史の手腕に期待する。
読了日:10月30日 著者:高田郁
少女の時間 (創元推理文庫)の感想
【図書館】柚木草平シリーズ、第11弾! 相変わらず、グータラな女たらしの草平ちゃん、今回は美女の大群に取り巻かれ戦々恐々。 しかし、絶対ありえない状況にも関わらず事件解決まで漕ぎつけるという荒業に小説とは言え拍手。 入れ替わり、現れる美女が著者の小説からという設定も面白い。 その他、脇役の人物も登場するから、眼が離せない。 柚木草平シリーズ、純粋推理とは違うけど、こういう世界観はハードボイルドとしても面白い。 作者も言う様に「重い作品を重く書く」だけでは無い様に思う、ユーモア交じりも好きだなあ。
読了日:10月31日 著者:樋口 有介
最近のコメント